関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-169 低頻度の全身振動トレーニングが運動器不安定症の患者に及ぼす影響
長嶋遼鎌田知紗日野裕介小島一則(MD)長田信人(MD)
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p. 169-

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抄録

【目的】全身振動トレーニング(以下WBVT)は振動刺激を用いた運動療法であり、関節負荷が低いことから医学領域に用いられている。先行研究は高頻度(週3 回)のものが散見しているため、低頻度(週1 回)でのWBVT の効果を研究することとした。

【方法】対象は運動器不安定症と診断された26 名(男性3 名、女性23 名、平均年齢72.5 歳)。WBVT を行う群

(WBVT 群)と床上で行う群(no-WBVT 群)をランダムに分けhamstrings stretch、squat、deep squat を各30 秒、週1 回で12 週行った。WBVT はPower PlatePro5®:POWER PLATE International 社製を用いた。home exercise は安保らの研究からleg extension とASLR exercise を指導し実施頻度を確認した。1、4、12 週目に30 秒椅子立ち上がりテスト(CS-30)、TUG、片脚立位を測定し結果をt 検定で解析した。被験者には本研究の趣旨を説明し書面にて同意を得た。

【結果】CS-30 は4 週目でWBVT 群がno-WBVT 群に比べ有意に値が上昇した(p<0.05)。TUG は4 週目で群間の有意差は見られなかったが、12 週でWBVT 群がno-WBVT 群に比べ有意に減少した。片脚立位は群間での有意差は見られなかった。またhome exercise の回数に有意差は見られなかった。

【考察】全身振動は連続的な伸張反射と相互抑制を生じる緊張性振動反射を引き起こす。Roelants らの研究ではsquat 姿勢による筋電図を測定した所、WBVT を用いた場合下肢筋力の筋電図が有意に上昇した(227~400%)とされている。WBVT による筋活性化に加え、拮抗筋の相互抑制が生じたことで高い負荷を与え、筋力増加が生じたと推察する。また松田らの報告では下肢筋力と動的バランスの相関が認められており、WBVT による動的バランスの改善も示唆された。

【おわりに】WBVT は医療現場での利用が増加しているが研究報告の数は少ない。本研究では週1 回という低頻度においてもその効果が確認された。今後は運動療法の選択肢の一つになりうる可能性が伺われた。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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