関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-170 中高齢者における反復性肩関節脱臼に腱板断裂を合併した症例の鏡視下修復術後の関節可 動域推移
佐藤元勇仲島佑紀大西和友三上紘史藤井周
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p. 170-

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抄録

【目的】中高齢者の反復性肩関節脱臼はBankart 損傷に加え腱板断裂を合併することがあり、その両者を修復した場合、術後可動域の回復が遷延することが懸念される。本研究は、鏡視下Bankart 修復術(ABR)に鏡視下腱板修復術(ARCR)を併用した症例の術後可動域推移を検証することを目的とした。

【方法】当院において50 歳以上でABR を施行し、術後6 ヶ月以上経過観察が可能であった34 例を対象とした。

ABR 単独で行った24 例(単独群:男性9 例、女性15 例、年齢56.6 歳)とABR にARCR を併用した11 例(併用群:男性3 例、女性8 例、年齢66.5 歳)の2 群に分類した。これら両群の術後1、3、6 ヵ月の可動域推移を比較検討した。統計学的解析には両群間および時期を2 要因とした2 元配置分散分析を用い、有意水準は5%とした。なお術前可動域は単独群で他動挙上(AE)は153.3±17.7°、下垂位他動外旋(ER)で57.9±11.7°、併用群AE は

142.7±32.5°、ER は57.2±10.8°であり両群間に有意差はなかった。データの取扱いにはプライバシーの保護に充分配慮した。

【結果】術後1、3、6 ヵ月における可動域は、AE は単独群で118.3±20.3°、143.7±14.5°、157.5±15.8°、併用

群で116.8±18.6°、145.9±21.8°、152.7±21.0°であった。ER は単独群で17.5±17.0°、28.9±14.9°、

43.5±17.1°、併用群で20.9±10.6°、31.3±11.6°、40.0±14.3°であった。両群間および時期を2 要因とした2 元配置分散分析の結果、各時期による主効果は認めたが、両群間では主効果は認められなかった。

【考察】中高齢者の反復性肩関節脱臼に対する鏡視下Bankart 修復術は、腱板修復術を併用しても術後早期の他動関節可動域の推移は同等であった。本研究結果は術後理学療法展開の一助となると考えるが、臨床上、併用群においては可動域回復に難治する症例も見られたことを考慮し、今後さらに症例数を増やし追究していく必要があると考える。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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