主催: 公益社団法人日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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【目的】近年,回復期病棟における活動量計を用いた研究では,自宅退院する患者を対象に退院前後の活動量を測定し,活動量に影響する因子として主観的な活動感や痛みが関連すると報告されている.しかし,入院時の活動量に限定した報告は少ない状態にある.そこで本研究では,入院後早期の活動量にどのような要因が関連しているかを明らかとすることを目的とした。
【対象・方法】対象は平成27 年9 月から平成28 年1 月に当院回復期病棟に入院した患者40 名(男性19 名,女性
21 名,平均年齢73.6±11.5 歳).評価項目は生活意欲をVitality Index(以下VI),栄養状態を簡易栄養状態評価表
(以下MNA-sh),ADL 評価を運動FIM,認知FIM を用い,各評価は入院時に調査した.活動量の評価は活動量計(タニタ製カロリズムスマートAM-121)を使用し,入院後1 週間以内に計測を行い,正確にデータが抽出された1 日分を採用した.尚,装着時間は入浴時間を除く9 時~17 時とし,活動量の数値はKcal で測定した(以下入院時活動量).統計学的処理は入院時活動量と各評価との関連性をみるためにSpearman の順位相関係数を用い,有意水準は5%と
した.
【倫理的配慮】本研究を行うにあたり,対象者に対し本研究の趣旨を説明し同意を得た上で研究を実施した.
【結果】統計解析の結果,入院時活動量と年齢において負の相関が,運動FIM,VI,MNA-sh において正の相関が認められた.相関係数は年齢(r=-0.33),運動FIM(r=0.63),VI(r=0.57),MNA-sh(r=0.38)であった. 【考察】回復期に入院してきた時点で高齢,または栄養状態不良である場合、生活意欲も低い傾向があり,活動量が低値となったと考えら
れる.回復期病棟では入院患者の38%が低栄養との報告があり,回復期病棟では介入していく上での栄養面のフォローや,リハビリ以外での離床意欲を高める関わり方の必要性が示唆された.今回は入院時のみの横断的調査であったが,今後は活動量の継時的変化を追い退院時の因子も検討する必要がある.