関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-006 75 歳以上後期高齢者と85 歳以上超高齢者における心肺運動負荷試験の安全性と比較
伊藤将下川京実田中翔中澤祐貴桜木浩司藤本瑛司相笠康貴川内基裕
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p. 190-

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抄録

【目的】心肺運動負荷試験(CPX)による嫌気性代謝閾値(AT)は運動処方で有効であるが、高齢者での報告はない。また、高齢者は個体差が大きく運動処方が困難であることが多い。当院では75 歳以上の後期高齢者、85 歳以上の超高齢者にCPX を安全に施行できたので、その結果を報告する。なお、本研究は当院倫理委員会より承認を得ている。

【対象と方法】2012 年5 月から2015 年12 月の間に当院に入院した75 歳以上の2199 症例のうち75-92 歳(平均

81 歳)の56 例にのべ81 回のCPX を施行した。認知症がなく、活発でCPX の禁忌となる心疾患がなく、NYHAII 度以下で原則200m 歩行が可能、エルゴメータ運動が可能、なおかつAT レベルでの運動処方を必要とした症例を選択した。 81 回の結果をA 群:後期高齢者47 例69 回(75-84 歳、平均79.8 歳)とB 群:超高齢者10 例 12 回(85-

92 歳、平均87.7 歳)に分けAT およびpeak を比較した。

【結果】検査中、検査後に事故/有害事象の発生なしに56 例に対して81 回のCPX を安全に施行することができた。

AT VO2 はA 群8.98±2.61、B 群7.58±1.39(p<0.03)、peak VO2 はA 群12.2±3.16、B 群9.69±2.73(p<0.03)であり、ともにB 群で有意に低かった。HR はAT、peak ともに両群間で有意差を認めなかった。AT でのWatt はA 群25.9±10.5、B 群19.5±14.5 と有意な差がなく、peak でのWatt はA 群48.7±14.1、B 群37.7±14.9(p<0.03)とB 群で有意に低かった。検査後、AT レベルの運動処方を実施し、安全に施行することが可能であった。

【結論】適切に症例を選択することで、75 歳以上の後期高齢者ならびに85 歳以上の超高齢者でも安全にCPX を施行し運動処方を行えた。超高齢者においてはVO2 が低下傾向にあり、これは下肢筋力の低下によると考えられた。

これから高齢化社会を迎えるにあたり、個体差の大きい高齢者において安全で効果的な運動処方・運動指導を設定する上で、CPX が安全かつ有用であることが示唆された。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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