関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-009 急性期病院退院時の歩行獲得予測因子についての検討
井澤菜苗阿部翔悟板摺美歩小泉周也藤森大吾
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キーワード: 脳卒中, 予後予測, 急性期
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p. 193-

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抄録

【目的】急性期病院は入院早期から退院や転院調整が開始されるため,歩行獲得の可否は転機先を決定する要因の一つであり,早期から歩行の予後予測が求められている.これまでの報告は回復期のものが多く,急性期での報告は少ない.そこで今回の目的は,過去の報告を参考に評価項目を抽出し,急性期退院時の歩行獲得予測因子を明らかにすることとした.

【方法】対象は,2015 年9 月から2016 年3 月に当院に入院した脳卒中患者で,入院前の歩行が自立し第5 病日時点で歩行に介助が必要だった37 例とした.内訳は,退院時に歩行を獲得した自立群21 例と,退院時歩行に介助を要した介助群16 例である.除外基準は,在院日数が14 日未満もしくは60 日以上,死亡,くも膜下出血例とした.評価項目は,初回介入時Functional Independence Measure(以下FIM),第5 病日目のJapan Coma Scale,National lnstitute of Health stroke scale(以下NIHSS),Brunnstrom recovery stage(以下BRS),Trunk Control Test(以下TCT),座位機能,Motricity Index(以下MI)とした.解析は,単変量解析において有意差を認めた項目に対して,多重ロジスティック回帰分析を行った.有意水準は5%未満とした.対象者もしくは家族に本研究についての目的説明し同意を得た. 【結果】単変量解析により,手指BRS,下肢BRS,座位機能,NIHSS,初回FIM,TCT,MI において有意差を認めた.多重共線性を考慮し,説明変数を下肢BRS,座位,NIHSS,初回FIM,TCT,MI として多重ロジスティック回帰分析を行ったところ下肢BRS において有意差を認めた.

【考察】本研究の結果により,下肢BRS が急性期病院退院時の歩行獲得予測因子になりうることが示唆された.先行研究では,回復期での歩行獲得予測因子として,BRS,座位機能,体幹機能が重要であるとされている.しかし,本研究ではTCT,座位機能は多重ロジスティック回帰分析で有意差を認めなかった.重度運動麻痺患者では,急性期病院での歩行獲得は難しいことが考えられた.

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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