関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-008 統合失調症患者に理学療法を実施した場合の歩行能力の変化と測定項目の検討
杉輝夫鈴木未帆野崎恵一
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p. 192-

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抄録

【はじめに,目的】統合失調症の精神症状が運動により軽減するという報告が散見されるようになった。しかし、精神科領域における身体機能の特徴的な変化の評価方法や評価指標は特定されておらず、エビデンスの構築が進んでいない。そこで、精神科に入院となり理学療法を実施した統合失調症患者の歩行能力の変化を調査し、その特徴をまとめ測定項目の検討を行うこととした。

【方法】対象:統合失調の患者5 名(60.0±17.6 歳, 男性1 名, 女性4 名)測定項目:歩行能力(10m 歩行テスト)。

所要時間と歩数を計測し、歩行速度・歩幅・歩行率と各項目の変動係数(CV)を算出。測定方法:10m 歩行テストは通常歩行で3 回実施。理学療法開始時と約1 ヶ月後の2 回測定。比較方法:グラフを用いて1 ヶ月の変化を視覚的に確認した。 【説明と同意】参加者には、研究目的・計画等について説明し同意を得た。

【結果】歩行速度(60.4→64.5m/分)と歩行率(121.2→128.8 歩/分)は増加し、歩幅(0.50→0.50m/歩)は変化を認めなかった。各個人の変化をみると、どの項目においても特徴は把握できなかった。CV は、歩行速度(6.9→4.0%)と歩幅(5.9→4.0%)で減少し、歩行率(1.9→4.8%)で増加した。各個人の変化をみると歩行率では全患者が増加したが、他の項目では特徴を認めなった。加えて歩行速度のCV の個人差は小さくなった。 【考察】歩行速度と歩行率、歩行速度のCV の個人差を測定することにより、統合失調症の患者の特徴的な変化を捉えられる可能性があると考えられた。統合失調症の患者ではばらつきの個人差が大きく、1 回の測定で疾患による特性や運動機能の特徴を把握することは困難であった。1ヶ月以上継続するとばらつきの個人差が縮小していくことから、理学療法の継続と定期的な運動機能の測定が重要と考えられた。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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