主催: 公益社団法人日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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【はじめに】近年、末梢循環障害による下肢切断者が増加し、これにより高齢下肢切断者数が増加している。また、理学療法の対象となる疾患で「切断」は0.73%と少なく、理学療法士(以下PT)がリハに苦慮するとの声は聞かれるが、それに関する詳細な報告はない。そこで、神奈川県内の急性期病院に勤務するPT にアンケート調査を行い、切断者に対するリハの現状とPT の認識を把握することを目的とした。
【方法】対象は神奈川県の急性期に勤務する経験年数3 年目以上のPT(27 施設135 名)とした。アンケートは郵送による無記名自記式質問紙法で、返信をもち同意を得たものとした。調査項目は属性、下肢切断のリハに対する不安の有無・自信とした。経験した切断者数と自信の関連をフィッシャーの直接確率検定を行い有意水準は5%とした。また、本研究は本大学の倫理審査委員会の承認を得て行った(保大第25-57)。
【結果】アンケート回収率は42.2%、PT 経験年数は9.75 年、経験数は4 名以下が29%、5~9 名が39%、不安は
73.2%に見られた。切断原因は循環障害59%、経験した切断高位は大腿切断30%、下腿切断34%であった。経験が少ない群では心理機能・断端部の評価、断端管理、義足装着・調整、義足を使用した動作練習など義足に関連した項目に強い不安がみられた。また、経験が多い群においても、義足に関連した項目では強い不安がみられた。経験人数と自信の関連は、断端・疼痛・歩行能力の評価に対する評価、断端管理・義足装着練習・異常歩行の把握・義足継手の選択に差があった。不安理由はリハの経験不足・義足に対する知識不足であった。
【まとめ】切断者数自体が少ないため経験を重ね辛く、義足に関する項目は経験を重ねても不安は解消されにくかった。急性期の短期間の中では、断端管理や退院後の支援を含め病棟や地域のスタッフとの連携が重要と考えられた。