関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-012 フィリピン人事交流研修報告~理学療法士の視点で見えたもの~
深町光太郎市川彰
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p. 196-

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抄録

【はじめに】当院では病院理念に国際保健医療への貢献を掲げ、力を入れている。2015 年5 月、当院とフィリピン大学との間に人事交流を主眼とした了解覚書を締結した。これに基づき、厚生労働省が公募した「医療技術等国際展開推進事業」を受託。2015 年12 月、当院スタッフ6 名で10 日間のフィリピ ン研修へ赴いた。今回、理学療法士として同事業に参加し、現地の地方都市で視察・活動してきた経験をまとめ、テクノエイド及び理学療法分野での新たな国際協力の提案の具体化に向けた報告をしたい。

【フィリピンの現状】フィリピンは2013 年11 月、巨大台風により甚大な被害を受け、地方都市では未だに復興途上にある。高齢化率は約4%(日本約26%)と非常に若い国で、医療保健分野では感染症や母子保健が緊急の課題であり、死因の上位を占める生活習慣病や、老年症候群などの問題は視野にない状況であった。医学的なリハビリテーションは公的医療保険制度に組み込まれておらず、普及していなかった。また、医療従事者の海外流出が深刻な問題で、少ないスタッフで多くの患者の対応をしなくてはならない現状にあった。

【活動に対する反応】テクノエイドの視点から「腰痛予防のための持ち上げない介助」をテーマに、フィリピンの医療従事者を対象にスライディングシートを使用した介助指導を行った。医療現場での腰痛が問題となっている中、スライディングシートなど福祉用具に対する関心度が高かった。

【おわりに】今回の活動を通し、当院に期待することとして生活習慣病の対策が上がった。現在、当院で使用している生活習慣病の問診表を現地で導入できるよう検討していく方針である。理学療法分野では、潜在的に多い慢性疾患患者に対して医学的リハビリテーションの技術を紹介する需要があること、また実際の地域に入り、生活習慣病予防、介護予防、健康増進、医療介護労働環境改善などに対する啓発活動に期待するところが大きかった。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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