関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-030 低周波電気刺激を用い起立練習を行った脳卒中患者の一症例~ABAB 法を用いて~
大鷲智絵田村拓也
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キーワード: 脳卒中, 低周波電気刺激, HHD
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p. 214-

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抄録

【はじめに】麻痺の回復は発症から3 か月までにいかに効率よく麻痺の回復を促進できるかが予後に大きく関わる。

効率的に麻痺の回復を促進するためには患者が意図した運動を実現し、それをエラーレスに反復し大脳皮質から脊髄前角細胞までの神経路を再建・強化することが必要とされている。低周波電気刺激(以下電気刺激)を用いて筋収縮を行えば効率的な麻痺の回復が図れるのではないかと考えた。 【目的】電気刺激が麻痺の回復促進に影響を与えうる一因となるのか自然経過と比較し検討すること。

【方法】対象は左片麻痺(下肢BRS3)を呈した50 代前半の女性。発症から61 日目より介入開始。治療頻度と時間は週7回、約60 分、治療内容はA の第1・2 基礎水準期(各1週間)では通常の理学療法+起立運動、B の第1・2

操作導入期(各1 週間)は通常の理学療法+麻痺側大腿四頭筋に電気刺激を加えた起立運動を行った。評価項目は、1)自動膝屈曲角度([°],Image J)、2)大腿四頭筋筋力([N/Kg],HHD ANIMA 社製)、3)1 分間での最大努力での起立可能な回数[回/分]とし、1 週間に2 回測定した。AB 各期間の比較と、退院後1 か月に1 度評価を実施し

4 か月間のデータを収集し比較した。

【結果】A、B 各期ともに1)自動膝屈曲角度、2)大腿四頭筋筋力、3)起立可能な回数は軽度改善するものの著明な変化はなかった。退院後自宅生活をされている期間での測定では1)自動膝屈曲角度、2)大腿四頭筋筋力において著明な改善がみられた。

【考察】本症例においては、電気刺激の有無によって著明な変化はみられなかった。退院後は、活動時間が増加したため改善に繋がったと考えられる。また、従来考えられている麻痺の回復期間を過ぎても運動量が多い症例においては麻痺筋の随意性や筋力は向上する可能性があることが示唆された。

【説明と同意】症例には十分な説明をし、画像の使用および症例報告に対して書面にて同意を得た。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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