関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-029 長期間のMaximum Insufflation Capacity が維持できた非侵襲的人工呼吸療法管理のALS 症例
今井哲也芝崎伸彦沼山貴也
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p. 213-

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抄録

【目的】筋萎縮性側索硬化症(以下ALS)では筋力低下に伴い、肺・胸郭が十分な深吸気を行っていないとコンプライアンスが低下する。肺を他動的に最大伸張させるMaximum Insufflation Capacity(以下MIC)を評価手段とし、肺コンプライアンス維持訓練を長期間行った報告はない。今回、非侵襲的陽圧換気(以下NPPV)管理のALS 一症例におけるVital Capacity(以下 VC)とMIC の経時変化を検討する。

【方法】対象は、本研究の説明と同意を得られたNPPV 管理のALS 患者一症例とした。呼吸リハビリテーション介入内容として、週1 回の胸郭モビライゼーションとMIC、自主トレーニングで舌咽頭呼吸(以下GBP)とカフアシストを指導し行ってもらう。測定項目はVC とMIC で、両測定には最大吸気後にライトレスピロメーターを使用し、呼気を行った。MIC は蘇生バックを使用し、最大吸気位まで他動的に加圧した。尚、本研究における最大吸気位は肺損傷を考慮し、「きつく感じない程度」までとした。また、MIC の再現性を上げるために、1 ヵ月の導入期間を設けた。測定はそれぞれ3 回行い、最大値を代表値とした。VC とMIC の測定を3 ヵ月に1 度行い、経時的な変化を記録・比較した。

【結果】導入期のMIC は1350ml でVC は1550ml。開始時のMIC は1750ml でVC は1520ml。3 ヵ月後はMIC

1800ml とVC 1380ml、6 か月後はMIC 1850ml とVC 1380ml、9 ヵ月後はMIC 2150ml とVC 1200ml、12 ヵ月後はMIC 2000ml とVC 1220ml。

【考察】疾患の進行により呼吸筋力およびVC は低下するも、GBP やカフアシスト等により肺胸郭コンプライアンスおよびMIC が維持できたと考えられる。MIC は導入期から開始時で大きく上昇し、患者の呼吸と施行者の送気のタイミングが是正されたと考えられる。GBP やカフアシスト指導を併用することは、他動的な柔軟性の維持に寄与する可能性がある。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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