関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-047 車椅子座位前方滑りに対するアンカーサポートの工夫
高橋遼
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p. 231-

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抄録

【目的】標準型車椅子使用者は不良座位姿勢が原因で、骨盤の前方滑りによる褥瘡や転落事故が発生するケースも少なくない。骨盤の前方滑りに対して座面クッションのアンカーサポートを導入することがある。そこで、バスタオルを使用し、簡便にアンカーサポートの代用として、骨盤の前方滑りの軽減が出来るか検証を行った。

【対象】対象は健常成人19 名(平均年齢37.4±11.2 歳,男性6 名,女性13 名)とした。また、対象者には研究の趣旨と倫理的配慮の説明に同意を得た。

【方法】車椅子は標準型車椅子を使用し、座面には30mm のチップウレタンに、10mm の高弾性ウレタンで上・下面を覆ったクッションを使用した。クッション下前面にバスタオルを挿入し、アンカーとした。実施内容は下肢での車椅子駆動を30 歩行い、アンカーサポート有りと無しの計2 回行った。それぞれの車椅子座位時のズレ度(JSSC 版)を計測した。全てのズレ度計測後にVisual Analog Scale(以下:VAS)にて座り心地を計測した。統計解析はズレ度及びVAS をWilcoxon 符号付順位和検定にて比較した。統計学的有意水準は5%未満とした。

【結果】アンカーサポート無しでは右ズレ度1.98±1.13%、左ズレ度1.56±0.69%、VAS5.66±1.91cm、アンカーサポート有りでは右ズレ度0.99±0.83%、左ズレ度0.79±0.53%、VAS6.34±1.86cm にて左右ズレ度に有意差が認められた。効果量においても効果量大を示した。右ズレ度(P<0.01,効果量r=0.8)左ズレ度(P<0.01,効果量r=0.82)。

VAS は有意差が認められなかった。

【考察】バスタオルを用いたアンカーサポートの有無でズレ度において有意差がみられた。バスタオル挿入によるアンカーサポートは前方滑りを防ぎ、アンカーポイントとしての有効性が示唆された。日用品を用いて、良肢位保持が困難な方や前方滑りの剪断力による褥瘡のリスク、車椅子からの転落など臨床場面で多く見られる問題への早期の対応が可能であると考えられる。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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