関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-046 福山型先天性筋ジストロフィーに対するGMFM の信頼性
中村花穂安達みちる後藤圭介圖師将也冬賀清香和田太猪飼哲夫石黒久美子七字美延佐藤孝俊村上てるみ石垣景子
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p. 230-

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抄録

【はじめに】福山型先天性筋ジストロフィー(FCMD)は大脳形成異常による知的障害を伴う筋ジストロフィーである.運動機能判定は上田分類(レベル0~8)が用いられているが,粗大運動能力を詳細に捉えることは難しい.粗大運動能力尺度(GMFM)は脳性麻痺に対する運動評価尺度として開発されたが,脊髄性筋萎縮症やDown 症候群など他の神経筋疾患でも妥当性が証明されている.そこで我々はFCMD 患者の能力をGMFM で評価し,その妥当性と有用性を報告した.本研究では検者間および検者内信頼性について検討を行った.

【対象と方法】対象は2013 年10 月から2015 年1 月までに当院入院中の0 歳7 ヶ月~16 歳11 ヶ月のFCMD 患者

17 名.全例にGMFM を実施し,患者家族の同意を得てビデオカメラで記録をした.内3 名は上田分類の運動機能レベルが異なる時期で2 回評価を行い,計20 回分の記録を行った.検者間信頼性では,GMFM 講習会を受講し,採点前に判断基準を再確認した経験年数2,5,8,29 年の理学療法士(PT)計4 名が,全ビデオ記録を採点した.検者内信頼性では,経験年数2 年のPT1 名が再度20 回分のビデオ記録を半年の期間をあけて採点した.統計学的処理はSPSS にて級内相関係数(ICC)を求めた.

【結果】検者間信頼性のICC は,項目ごとにA 領域:0.9739,B 領域:0.9898,C 領域:0.9954,D 領域:0.9979,E 領

域:0.9933,総合点:0.9961 であった.検者内信頼性の ICC は,項目ごとにA 領域:0.9821,B 領域:0.9948,C 領

域:0.999,D 領域:1,E 領域:0.9844,総合点:0.9978 であった.

【考察】今回の結果はFCMD に対するGMFM の全領域にて検者間および検者内信頼性が高いことを示している.GMFM を習得し,判断基準を確認したPT であれば経験年数に大きく左右されず,FCMD 患者に対してGMFM を使用できることが示唆された.今後FCMD の臨床や治験等での主要評価項目として期待できる.

【倫理と同意】本研究は東京女子医科大学倫理委員会の承諾を得て実施した.

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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