関東甲信越ブロック理学療法士学会
Online ISSN : 2187-123X
Print ISSN : 0916-9946
ISSN-L : 0916-9946
第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
会議情報

口述
O-025 高校生ボート競技選手における腰痛と体幹筋力の関係についての調査報告
猪狩寛城
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 25-

詳細
抄録

【目的】ボート競技選手の傷害として腰痛が多い。一般的にスポーツ選手の腰痛に関する報告において体幹筋力との関連性があると報告されているが、高校生ボート競技選手においてはそのような報告は見られない。本研究の目的は、スポーツ現場で高校生ボート競技選手の腰痛と体幹筋力の関連性を調べる事である。

【方法】対象は県大会に出場する高校生ボート競技選手1~3 年生男女42 名(男性26 名、女性16 名)であり、口頭にて腰痛の有無を確認した。腰痛の有無で腰痛(有)群、過去(有)群、無し群の三群に分類した。各群に対して徒手筋力測定評価器MICROFET(日本メディックス社製)を用いて体幹屈曲・伸展筋力、股関節屈曲筋力を測定し、体幹伸展筋力/体幹屈曲筋力(以下E/F 比)を算出し、3 群間で比較した。また、それぞれの筋力値を体重で除した値を算出し、3 群間で比較した。統計学的解析は3 群間の測定項目に対しクリスカルウォーリス順位検定を行い、有意差がある場合にはボンフェローニ補正マンホイットニー検定を実施し、有意水準は5%とした。

【倫理的配慮】ヘルシンキ宣言に則り、選手には研究の趣旨を書面と口頭で説明・確認をした上で参加に同意を得た。

【結果】腰痛(有)群12 名(男性6 名、女性6 名)、過去(有)群12 名(男性8 名、女性4 名)、無し群18 名(男性12

名、女性6 名)となり、腰痛(有)の割合は28.6%となった。全ての測定項目において各群間で有意差は無かった。

【考察】本研究の結果、高校生ボート競技選手の腰痛に関してE/F 比や体幹筋力は関与しない可能性が示唆された。これはボート競技において、腹筋群・背筋群の筋バランスや体幹筋力よりもフォーム不良等のスキルの問題が腰痛に関与している、または瞬発的な筋力ではなく筋持久力の低下が腰痛に影響を与えているためではないかと推測された。今後更なる検討により明らかになると考えられた。

著者関連情報
© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
前の記事 次の記事
feedback
Top