関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-026 コントロール不良な重症不整脈患者を担当して~負荷量に着目した介入~
金子真人東福寺規義
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p. 26-

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抄録

【初めに】 陳旧性心筋梗塞に対し冠動脈バイパス術施行後、抗不整脈薬であるアミオダロンの副作用により間質性肺炎を呈し、心不全が悪化した症例を担当した。介入当初はアミオダロン中止により不整脈が頻発し、循環動態が不安定だった。循環動態に配慮した運動負荷量の調整や環境設定を行い、自宅退院へ至った経過を報告する。発表に際し、患者から同意を得た。

【介入】 当初は低心機能(EF30%)に加え起立性低血圧を認めており、離床に時間を要した。介入X+11 日目には車椅子乗車時に収縮期血圧90mmHg 以上を保持でき、リハビリ室にてADL 訓練を開始した。階段昇降訓練まで可能となったが、X+22 日目に運動時のshort run や息切れ等の自覚症状を認めるようになった。X+24 日目に肺炎及び心不全が再燃し訓練中止となる。X+26 日目に訓練再開したが、起居動作や歩行時にshort run や四段脈を認めた。そのため、医師とバイタルに関する中止基準を再設定し、動作時の負荷量軽減に着目する事とした。運動耐容能向上を目的に、四肢筋力強化訓練を看護師と連携して実施した。また、起居動作においてベッドの高さ等の環境設定を行い、動作負荷量の再調整を行った。訓練時に不整脈が出現する場面を患者にフィードバックし、活動限界を把握しながら訓練を進めた。

【結果】 安静時及び運動時の不整脈の出現頻度が減少した。循環動態が安定し、訓練時の耐久性が向上した。4 点杖歩行、両手すり使用での20cm 段差昇降等が可能となったが、20m 以上の歩行や階段昇降時にNSVT を認めていた。屋内ADL において不整脈の出現なく杖歩行自立を獲得し、X+63 日目に自宅退院へ至った。

【考察】 筋力強化により運動耐容能向上を図り、動作時負荷量の調整を患者に対してフィードバックした結果、心不全の増悪なく自宅退院へと至った。今後の課題としては、自宅での環境調整について検討が必要だと考える。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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