関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-068 長岡市野球肘検診の取り組みと今後の課題
大野健太岡邨直人関根裕之田中康雄西沢岳之加藤健太郎山本智章
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p. 252-

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抄録

【目的】上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(以下OCD)は,投球障害の中でも将来に重篤な機能障害を生じやすいと言われている.新潟市ではH19 年より野球肘検診を開始し,長岡市ではH22 年より開始し昨年で5 年経過した.今回,5 年間で発見されたOCD 疑いの選手数,投球障害有無と受診率をまとめたので以下に報告する.

【対象と方法】対象はH22 年からH26 年に長岡市野球肘検診を受けた学童野球選手827 名(H22 年149 名,H23

年146 名,H24 年130 名,H25 年172 名,H26 年230 名)とした.検診で医師による超音波検査にてOCD を疑われた選手数を集計した.また問診票から,現在肩肘に疼痛のある選手数,整形外科受診者数を集計した.なお事前に各チームの監督,保護者に対し,検診目的,内容を文章と口頭で説明し同意を得た.

【結果】OCD 疑いの選手は5 年間で23 名(2.8%),内訳H22 年4 名(2.7%),H23 年5 名(3.4%),H24 年5 名

(3.9%),H25 年5 名(2.9%),H26 年4 名(1.7%)であった.現在肩肘に疼痛のある選手はH22 年34 名(22.8%),H23 年21 名(14.4%),H24 年12 名(9.2%),H25 年17 名(9.9%),H26 年30 名(13.0%)であった.その内、整形外科受診率はH22 年3 名(8.8%),H23 年2 名(9.5%),H24 年4 名(33.3%),H25 年1 名(5.9%),H26 年6 名

(20%)であった.

【考察】OCD 発症率は約2~3%と報告されており,今回と同様の結果であった.現在肩肘に痛みのある選手は,検診開始当初に比べ減少傾向であった.これは検診やH24 年に配付された野球手帳を通じて,選手や指導者の投球障害への理解や予防への認識が高くなっているからと考えられる.一方で整形外科への受診率は低く,投球障害にはX 線診断が重要であるということが保護者や指導者にまだ普及していなことが考えられる.今後はH27 年に県内全チームに配付された野球の指導教本である新潟メソッドを活用し,継続的な啓発を行っていく必要がある.

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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