関東甲信越ブロック理学療法士学会
Online ISSN : 2187-123X
Print ISSN : 0916-9946
ISSN-L : 0916-9946
第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
会議情報

ポスター
P-075 大腿骨近位部骨折術後症例に対する患側下肢荷重練習の即時効果に関する検討
松下紗和子袴田暢宇佐美かおり中山裕子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 259-

詳細
抄録

【目的】大腿骨近位部骨折症例において患側下肢の荷重練習による効果を検討した報告は少ない.今回,荷重練習の即時効果と効果に影響する要因について検討することを目的とした.

【方法】対象は,大腿骨近位部骨折術後症例15 例(年齢86.7±3.9 歳,男性2 例,女性13 例,介入時期:術後

40.7±10.4 日)とした.荷重課題は2 つの体重計の上に片脚ずつ接地した立位で患側下肢への最大荷重を5 秒間,10 回実施した.比較課題は足底接地しない椅子坐位を2 分間とした.効果判定の評価として10m 最大歩行速度,FRT を測定した.測定手順は,評価―比較課題―評価,評価―荷重課題―評価の順で行い,2 日間で測定した.その後,改善が得られた項目に関して,荷重課題改善量の中央値で改善良好群,改善不良群の2 群に分類,改善に関連があると考えられた,年齢,介入時期,歩行能力,下肢痛(NRS)について比較検討した.統計学的検討はt検定,マンホイットニ検定,X²検定を用い有意水準は5%とした.また,本研究は対象者に研究の主旨を十分に説明し,同意を得て行った.

【結果】10m 最大歩行速度は,比較課題前0.67±0.18m/s,課題後0.66±0.19m/s であった.荷重課題前

0.66±0.18m/s,課題後0.67±0.18m/s であり差を認めなかった.FRT は比較課題前25.65±7.16cm,課題後

23.23±6.0cm であり課題後で有意に低下していた(p<0.05).荷重課題は課題前24.3±7.47cm,課題後

26.9±7.0cm であり,課題後において有意に改善していた(p<0.05).FRT 改善良好群と改善不良群との比較では,すべての項目で有意差は認められなかった.

【考察】歩行速度に関しては各課題間で有意差を認めず,荷重課題による明らかな即時効果はみられなかった.FRT については,荷重課題後に有意な改善が認められ,荷重練習による即時効果を示した.改善良好群,不良群の比較ではすべての項目に差を認めず,今回検討した項目以外の要因が関与していることが考えられた.

著者関連情報
© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
前の記事 次の記事
feedback
Top