関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-076 頸椎術後理学療法で行うノルディックウォーキングの有効性について
重綱玲南櫻井理嵩池田潤櫻井運雄和田栄二加藤仁規子
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p. 260-

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抄録

【目的】2009 年より当院では頸椎症性脊髄症(CSM)患者に対して頸部椎弓反転式拡大形成術(RLR)を施行し,

2014 年から術後理学療法としてノルディックウォーキング(NW)を取り入れ軸性痛やロコモ対策を行っている. 本研究ではRLR 術前後におけるロコモ25 値や2 ステップ値,軸性痛の推移から頸椎術後NW の意義と有効性を検証した.

【対象と方法】対象:2015 年5 月~2016 年3 月にRLR を施行したCSM 患者30 名.全例術後翌日からNW を行い,退院後もNW 継続を指導.術後1 ヶ月で退院時からのNW 継続状況を確認し,NW 継続(C)群15 名,退院後NW 中断(D)群15 名の2 群で比較検討.方法:2 ステップを術後2 日目,退院時,術後1 ヶ月で施行.術後より軸性痛評価(NRS)を加え,ロコモ25 の調査は術前,術後1 ヶ月で実施. 【結果】2 ステップは術前→術後→退院時→術後1 ヶ月でD 群1.4→1.26→1.37→1.45,C 群1.31→1.12→1.38→1.49 と術後から両群とも有意に改善(p<

0.01).軸性痛評価は術後→退院時→術後1 ヶ月でD 群5.5→3.2→3,C 群5.8→2.5→1.4 と退院時まで両群とも有意に改善(p<0.01).退院時→術後1 ヶ月でD 群は変化乏しく,C 群は有意に改善(p<0.05).ロコモ25 では術前→術後1 ヶ月でD 群11.8→10 と有意な改善認めず,C 群18.8→7.6 と有意に改善(p<0.01).

【考察】NW は歩行動作に対する不安解消及び運動効果の増加が報告されている.軸性痛が術後から退院時で両群とも有意に改善し,術後1 ヶ月でC 群が有意に改善したことから,肩甲帯周囲筋を使用するNW は頸部椎弓形成術後の軸性痛軽減が期待できる.C 群の2 ステップ値とロコモ25 値が術前から術後1 ヶ月で有意に改善したことから,上下肢の連動した動きとなるNW はCSM 患者の低下した筋パワー訓練として有効であり,NW 使用による筋パワーの向上が,日常の身体的活動性の改善に寄与したと考える.よってNW は頸椎疾患も含めた脊椎疾患合併ロコモ高値患者の活動力の改善に有効である.

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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