関東甲信越ブロック理学療法士学会
Online ISSN : 2187-123X
Print ISSN : 0916-9946
ISSN-L : 0916-9946
第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
会議情報

ポスター
P-095 完全免荷にて前足部免荷装具採型後、仮合わせ時荷重において不適合が生じた症例
富田博之井田真人鈴木公二鈴木宏政
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 279-

詳細
抄録

【はじめに】右足趾多発骨折の患者に対し入院初期より前足部免荷装具(以下:装具)を作製した。作製時期は完全免荷の指示であり、完全免荷での採型を選択したが、仮合わせ時荷重において装具の不適合が生じた。今回の結果より、今後の装具処方においての検討項目として本症例の傾向を捉え考察した。発表に際しヘルシンキ宣言に則り書面にて同意を得た。

【装具処方の経過】80 代女性、右足趾多発骨折にて入院となる。翌日に装具を完全免荷にて採型し装具完成後、歩行練習を開始予定。装具はプラスチック製、Rigid type、足角5°、下腿前傾角20°、アウトソールを楔状型に作製し免荷時期は踵のみで荷重できるよう設定。仮合わせ時、荷重において、過度の前足部内反により母趾が脱落し不適合が生じた。

【理学療法評価】(右/左)足関節背屈20°/20°、距骨下関節回内20°/20°、回外10°/20°、横足根関節は距骨下関節中間位にて15°/10°(前足部内反)、果部捻転10°/10°、Craig test15°/10°、Q-angle15°/20° 【結果】果部捻転の評価より両側とも果部捻転が欠如しており、横足根関節の可動域評価から両側とも前足部内反足を呈していた。

【考察】装具処方において運動連鎖を考慮し、立位荷重採型が臨床的に行われる事があるが、本症例においては完全免荷時期であった。結果より果部捻転の評価は脛骨捻転の指標となり、果部捻転が欠如している場合、荷重では距骨下関節回内可動域が著しく制限するとされている。また横足根関節は隣接する距骨下関節と密接に関わっており、荷重での前足部内反に対する足底接地は距骨下関節回内によって補償されるが、本症例は果部捻転の評価からも荷重において距骨下関節回内が制限される事で、横足根関節回外の動きに伴い母趾が脱落したと考える。今回の装具処方を経験して、完全免荷時期の装具処方においても足部アライメントなどから荷重での運動連鎖の予測が必要であると感じた。

著者関連情報
© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
前の記事 次の記事
feedback
Top