関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-096 希望していた入浴と組み合わせることにより車椅子座位保持時間の改善を認めた一症例
上村朋美加藤宗規
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p. 280-

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抄録

【目的】腰背痛により車椅子での離床時間が改善しない症例に対して入浴を用いた応用行動分析学的介入を行い,車椅子座位時間への影響を検討した.

【方法】対象は,施設入所中に食物の窒息により救急搬送され,翌日に当院へ転院となった80 代女性.施設では車椅子使用.翌日よりベッドサイドでの理学療法を開始,8 病日目よりリハビリテーション室へ移行した.腰背部痛により車椅子での離床は最長10 分,食事はベッドアップ40°で介助だが痛みのため摂取量1/3 程度であった.また,15

病日時点でも理学療法評価も実施困難であった.入院前の腰背痛はなく,腰背痛の原因は整形外科的にも特定困難であった.施設からの希望は,(できれば車椅子座位での)食事動作の自立であり,車椅子での離床が求められて

いた.そこで,介入の変更として,理学療法中の会話で症例が強く望んでいた入浴を車椅子座位保持練習前に行い,それに引き続き車椅子座位を行い,終了後は介入変更前と同様に保持時間のフィードバックをした.座位保持時間の目標は90 分とし,乗車時間が延長した場合,90 分を達成した場合は職員で注目・称賛,翌日の入浴を約束

した.疼痛により座位保持が困難と感じた場合,すぐに部屋に戻ることを約束した.介入効果は介入変更前の座位保持時間と比較した.本研究はヘルシンキ宣言に則り行い,内容を対象者と家族に書面で示し,同意を得た.また、当院の生命倫理審査委員会の承諾を得た.

【結果】介入変更初日は40 分,7 日目には90 分に達した.保持時間延長,90 分達成率は10 日間で80%,1 日以外は40 分以上であった.介入変更2 日目からは食事動作が可能となった.

【考察】入浴後に座位保持練習をすること,および座位保持時間の改善により次回も入浴をする約束を行うことが座位保持時間の延長に寄与したと考えられた.そして,保持時間の延長は食事動作の自立に般化したと考えられた.

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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