関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-100 サービス間連携から在宅復帰を果たしQOL が向上した一方で、予防的な介入が困難となった一 症例
田口雅大山田友春益永真理山崎紗由利
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キーワード: 連携, 自立支援, 目標共有
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p. 284-

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抄録

【はじめに】今回、障害者総合支援法と介護保険法の各サービス間連携から在宅復帰を果たした一方で、疾病・介護予防への関わりが困難となった症例を経験した。本症例との関わりから、在宅チームでの連携における訪問リハビリテーション(以下、訪問リハ)の役割と利用者と目標共有することの重要性を学ぶ機会を得たためここに報告する。

尚、今回の報告に際してご本人に口頭・書面にて同意を得た。

【症例紹介】50 歳代男性。独居。要支援2。脳出血後遺症により右上下肢麻痺、失語症、全般性注意障害を呈している。Barthel index 95 点で入浴以外自立。移動は屋外歩行自立。病前は自給自足の生活、持家を自然園として開放するなど生活スタイルには強い拘りがあった。 【経過】 注意障害等から持家での生活は困難と判断され、村営アパートへ退院となったが、在宅復帰への希望が強く退院2 か月後に訪問リハ開始となる。多くのサービスが関わる中で、当初は連携を図ることが難しかったが、次第にチームとしてまとまった関わりが行えるようになり、訪問リハ開始5 か月後に在宅復帰することができた。また、友人等の協力から農業も再開された。しかし、在宅復帰後のサービス目標の変更や生活スタイルの再構築が進むにつれて服薬等に拒否がみられ、訪問リハでも予防的な介入が困難となった。 【考察】今回、連携に関して「訪問リハ=機能訓練」というイメージが他サービスにあり、当初は提案や意見が通り難かったが、継続して連携を働きかけたことで訪問リハへの専門性の理解につながった。また、“在宅復帰”というサービス全体で共有しやすい目標があったことで協働して自立支援を促す関わりが行えたと考える。一方で在宅復帰後、症例自身の主体性が強化され、元々の個性が取り戻されてきたこと。また、サービス主体の目標となり症例と目標共有できていなかったことが、結果として予防的な介入を難しくしてしまったと考える。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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