関東甲信越ブロック理学療法士学会
Online ISSN : 2187-123X
Print ISSN : 0916-9946
ISSN-L : 0916-9946
第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
会議情報

ポスター
P-101 側臥位での股関節外転運動時の中臀筋の関与率について
小嶋賢人櫻井靖芳
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 285-

詳細
抄録

【目的】側臥位での股関節外転運動において、脊柱・骨盤のアライメントに着目して2 種類の運動方法を考案し、腹斜筋群や中殿筋の筋出力(%MVC)を比較検討することで、効果的な中殿筋の運動方法の提案などについて新たな知見を提供する目的で本研究を実施した。

【方法】対象は同意を得た健常男女18 名。DELSYS 社の筋電図計を外腹斜筋・内腹斜筋・大腿筋膜張筋・中臀筋に装着し、各筋に最大等尺性収縮を行わせ、MaxMVC を測定した。試技1 では通常の側臥位股関節外転運動を最大外転位において15 秒間の等尺性収縮で行った。試技2 では被検者の側腹部をRedCord 社のレッドーコードを用いて床面より7cm 拳上させ脊柱の側屈を是正した肢位にて、肢位1 と同様に計測を行った。

【結果】試技1 に比べ試技2 では、外腹斜筋の%MVC が0.45%減少した(P 値=0.049)。中臀筋の%MVC は9.33%向上した(P 値=0.023)。内腹斜筋と大腿筋膜張筋については有意差が認められなかった。試技1 に比べ試技2 の方が側臥位の股関節外転運動において中臀筋の関与率を増幅させた運動であることが判明した。

【考察】側臥位での股関節外転運動は股関節外転と骨盤挙上(脊柱側屈)を組み合わせた運動である。試技2 のように側腹部をレッドコードで拳上させることにより、外腹斜筋は起始と停止が離れ伸長位となり骨盤挙上が抑制される。

また、試技2 の肢位は試技1 の肢位と比較して運動時の骨盤挙上を制限し骨盤の傾斜角度を中間位に近づけることで股関節外転要素を強調した運動となる。よって試技2 において外腹斜筋の%MVC が減少し、中臀筋の%MVC

が向上したと考える。これらの結果から、側臥位での股関節外転運動を行う際に反対側の側腹部を挙上することで運動中の骨盤挙上(脊柱側屈)を制限し、また骨盤傾斜角度を正中化することで中臀筋の関与率を向上させることが可能であると判明した。

著者関連情報
© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
前の記事 次の記事
feedback
Top