関東甲信越ブロック理学療法士学会
Online ISSN : 2187-123X
Print ISSN : 0916-9946
ISSN-L : 0916-9946
第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
会議情報

ポスター
P-109 脳卒中片麻痺患者への足底挿板療法~機能向上を目的に立脚前期の骨盤を後方停滞させた 症例~
渡邉郁海青木拓也
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 293-

詳細
抄録

【はじめに】足底挿板療法は、患者の身体運動を介入時間外も管理することが可能である。本症例は歩行時、麻痺を代償した跛行を呈していた。この歩容での歩行量増加は麻痺筋の促通には繋がらないと考え、代償を抑制した歩容で管理する為に足底挿板を挿入した。今回の発表では、足底挿板挿入前後の継時的な歩容変化について述べていく。

【説明と同意】ヘルシンキ宣言に則り、書面と口頭にて説明を行い、同意を得た。

【症例紹介】52 歳 女性疾患名:ラクナ梗塞(左放線冠) 病棟内ADL:1 本杖歩行見守り【理学療法評価】Br.stage

(右側)III-III-V 筋緊張(歩行時):低下 麻痺側大殿筋 MMT:麻痺側股関節伸展4/5【歩行分析、治療】麻痺側立脚前期に歩隔の拡大、股関節屈曲角度の減少が生じていた。それに伴い骨盤が早期に前方へ推進、外側変位量の減少が生じており、麻痺側立脚後期が短縮していた。その為非麻痺側下肢への重心移動量が減少し非麻痺側立脚後期の短縮が生じていた。上記の現象に対し即時的な治療効果を図るため、麻痺側立脚前期の骨盤後方停滞に伴う股関節屈曲角度の増加を得ることを目的に足底挿板を挿入した。

【結果】麻痺側立脚前期に骨盤後方停滞し股関節屈曲角度の増加が生じた。歩容の改善に伴い麻痺側大殿筋の収縮も得られた。

【考察】麻痺側立脚前期に股関節屈曲角度を減少させることで外的な股関節屈曲モーメントを軽減させ、大殿筋の筋出力低下を代償していたと考えた。足底挿板挿入により麻痺側立脚前期に骨盤の後方停滞が生じることで外的な股関節屈曲モーメントが増加し、大殿筋の収縮が得られたと考えた。本症例は足底挿板挿入後、1 か月で麻痺側大殿筋の筋出力が向上し、屋外歩行、階段昇降が自立した。足底挿板を用いた事で病棟内歩行が無意識下での機能訓練となり、より効率的に機能向上に繋がったのではないかと考えられた。

著者関連情報
© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
前の記事 次の記事
feedback
Top