関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-111 麻痺側上下肢への認識の変化がトイレ動作能力向上に至った症例
入倉伸太郎石川自然木島隆
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キーワード: 運動感覚, 認識, トイレ動作
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p. 295-

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抄録

【はじめに】片麻痺患者に麻痺側肢について問うと、動かない・言うことを聞かないと耳にすることが多い。今回、麻痺側上下肢への認識の変化がトイレ動作能力向上に至った症例を経験したため報告する。

【症例紹介】70 代女性。H27.11.4 に右内頚・右後大脳動脈狭窄と診断される。H27.12.7 当院に転院、翌日よりリハビリテーション開始。入院翌日の評価は、BRSIII-III-III、ある程度の随意運動を認めた。FIM59 点で、排泄はトイレ動作・移乗に介助を要した。症例は左上下肢を「ダメで動かない左の手足」と、立位時の荷重感覚は「右脚8:左脚2 の割合」と語った。又、関節リウマチを合併している(stage4,class4)。

【治療方法】症例の左上下肢に対する認識の変化により、自己の随意性に気付き、日常生活動作に左上下肢を参加できないかと考えた。方法は、左上下肢に対し関節可動域運動を閉眼・他動にて行い、運動の方向・感覚を確認してもらう。理解が得られた段階で自動介助運動に変更し、筋収縮を伴いながら行った。この方法を臥位、座位、立位の順で行った。尚、治療方法は患者及び家族に説明し書面にて同意を得た。

【結果】トイレ動作時に左手で上衣を捲る様子、トイレットペーパーを掴む様子が見られた。FIM66 点とトイレ動作項目で点数の向上が認められた。下衣操作時は下肢と協調しながら下衣を下す、パットを修正しようとする様子が見られた。立位時荷重感覚は「右脚5:左脚5」となった。症例は、左上下肢について「今は少しずつ動くようになった。でも、細かいことはできない」と、内省に変化を認めた。

【考察】FIM で、移乗・トイレ動作項目に点数が向上したことから、麻痺側上下肢への認識を変化はADL の向上に寄与したと考えられる。しかし、「細かいことはできない」との言葉や、リハビリパンツ内パットの修正までは至っていない。関節リウマチの影響を踏まえ、生活動作の実用性をどのようにするか検討の必要がある。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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