関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-114 歩行支援ロボットを用いた歩行訓練が歩容改善に繋がった一症例 ―歩行速度改善および効 果持続に着目して―
山口貴弘永石宗利
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p. 298-

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抄録

【はじめに】Honda 歩行アシスト(以下歩行アシスト)は股関節屈曲・伸展を補助する装着型ロボットである。発症後10

年経過し、生活期リハビリを継続している左片麻痺患者に対して歩行アシストを使用した歩行訓練で歩容改善と歩行速度上昇を認めた症例を報告する。

【対象】脳梗塞発症より10 年、左片麻痺を呈した80 代女性。当院通所リハビリを週2 回利用。歩行アシスト介入時理学療法評価はBrunnstrom Stage 上下肢V、足関節背屈可動域(右/左)15°/15°ADL 屋外歩行含めて自立。

【方法】週1 回20 分間、合計16 回の歩行アシストを実施し、通常リハビリプログラムも継続した。また4 週間通所リハビリ休止後歩行アシスト効果持続を検証した。10m歩行テストは訓練実施前に計測した。1 回目、16 回目を初回、最終とし4 週間の休止期間を設け再評価した。なお症例に対し研究の趣旨を説明し同意を得た。

【結果】歩行アシスト介入後身体機能に変化はなかった。歩数、歩幅及び時間、歩行速度は、初回23 歩44cm 14.9

秒40m/min 最終21 歩47cm 11.3 秒53 m/min,再評価20 歩49cm 11.4 秒53 m/min であった。歩行時股関節平均関節角度は屈曲で初回(右/左)35°/24°最終30°/19°再評価30°/20°伸展で初回6°/5°最終

7°/9°再評価12°/10°であった。

【考察】歩行中麻痺側股関節伸展角度の拡大が(5°→9°)歩行アシスト効果と考える。ロッカーファンクションを活かした歩行獲得が努力性の少ない下肢の振り出しに繋がりtoe clearance 改善や10m 歩行速度が上昇したと考える。(14.9 秒→11.3 秒40m/min→53 m/min)歩行アシスト介入により歩容が改善したことで、外出機会の増加や歩行距離延長など在宅生活に影響を与えたことが歩行速度、歩容の維持に繋がったと考える。

【まとめ】今回の症例では、発症後10 年間リハビリを継続してきた片麻痺患者に対して歩行支援ロボットが有効であったと考える。今後は休止期間を延長し歩容変化を検証していきたい。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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