関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-115 片麻痺患者における歩行中の麻痺側腕振りによるAsymmetry Ratio の変化
荻村公尊青山敏之真庭弘樹
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p. 299-

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抄録

【はじめに】本症例は軽度麻痺であったが,歩行時の麻痺側腕振りは乏しく立脚時間の非対称性を呈していた.そこで麻痺側腕振りを他動的に促した際,非対称性の改善が図れたため,腕振りが下肢運動の対称性に影響を与える可能性が考えられた.そこで麻痺側腕振り獲得のための介入とその影響を判定するために,歩行対称性の指標であるAsymmetry Ratio(以下,AR)を単脚支持時間(以下,SST)を用いて検証した.

【方法】本症例は20 代男性,右放線冠,基底核に脳梗塞を発症した左片麻痺患者.歩行はGait Solution にて自立.Brunnstrom recovery stage∨Ι-Ι∨-∨Ι,徒手筋力検査(以下,MMT)股関節屈曲,膝関節伸展,足関節背屈 5

/4,足関節底屈 5/2+,肩甲帯挙上 5/2,アシュワース尺度(以下,MAS)左肘関節伸展1,10m歩行8.82秒(16歩),歩行動画からSST 0.7 秒/0.59 秒,AR 0.18 であった.麻痺側腕振りのための上肢機能改善を含めた介入を35 日間実施し,その前後で各項目の測定を実施した.

【説明と同意】今回の報告はヘルシンキ宣言に基づき,本症例に対し口頭で説明した上で同意を得た. 【結果】MMT 左肩甲帯挙上4,MAS 左肘関節伸展0,10m 歩行7.34 秒(13 歩)SST 0.56 秒/0.55 秒,AR 0.02 と減少し,歩行中の麻痺側腕振りが出現した.その他項目は変化なし.

【考察】本症例は麻痺側上肢機能改善に伴い,歩行時の麻痺側腕振りが出現した.一方,麻痺側下肢筋力には変化がないにも関わらずAR の減少,すなわち麻痺側,非麻痺側SST の対称化が認められた.これらのことから,麻痺側腕振りは歩行時の左右立脚時間の対称化に貢献する可能性があると考える.今後,腕振りの定量化,さらには腕振りが立脚時間のみならず下肢関節運動の対象化に与える影響も検討する必要があると考える.

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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