関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-125 周辺視野が跨ぎ動作に及ぼす影響
原ひとみ加藤あずさ齋藤愛結花菅原愛実渡部祥輝
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p. 309-

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抄録

【目的】周辺視野の制限が跨ぎ動作時の下肢関節運動に与える影響を明らかにすることとした.

【方法】対象は健常成人18 名(年齢19.1±0.7 歳)とした.測定条件は,視野制限なしと視野制限ありの2 条件とした.視野制限には下方と側方を隠した眼鏡を用い,障害物が2 歩前で隠れるように設定した.課題動作は前方の固視点を注視し,快適速度で障害物を跨ぐ動作とした.測定には3 次元動作解析装置を用いた.測定項目は第5 中足骨(5MPH)と障害物上縁の最短距離(TC),5MPH が障害物直上時の各関節の矢状面角度(関節角度),各関節の最大屈曲・背屈位の時間から5MPH が障害物直上に位置した時間までの差(Timing)とした.統計解析は対応のあるt 検定を用いた.有意水準は5%とした.倫理的配慮として,研究の目的,内容を十分に説明し,書面及び口頭にて同意を得た.

【成績】結果は(制限ありvs.制限なし)で示す.TC は制限ありで有意に増加した(21.9±4.6cm vs.20.1±4.0cm,p<

0.05).Timing は,制限ありで股関節,膝関節とも有意に早まる傾向がみられた(股関節:0.01±0.03sec

vs.0.02±0.00sec,膝関節:-0.12±0.02sec vs.-0.10±0.03sec,p<0.1 ).

【結論】本研究の結果,周辺視野の制限は跨ぎ動作時の股関節,膝関節の運動に影響を及ぼすことが示唆された.中心視野はフィードフォワード制御に関与し,対象物を注視してその情報を運動計画に利用する.一方,周辺視野はオンライン制御に利用され,周辺の環境情報を知覚し,動作中の運動調整に利用される.本研究の結果は,障害物の2 歩前までの情報によりフィードフォワード制御による跨ぎ動作は可能であったが,周辺視野を制限したことにより,オンライン制御による動作中の運動調整が困難となった結果であると推測した.

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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