関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-126 末梢神経損傷モデルラットに対する運動介入が神経可塑性に与える影響
中本幸太金村尚彦村田健児国分貴徳清水大介武川夏奈峯岸雄基
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p. 310-

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抄録

【はじめに】末梢神経損傷に対する運動療法は従来から広く施行されており、末梢神経損傷後に旺盛な神経再生が起こることはよく知られている。しかし現在、末梢神経損傷後の運動療法が頻繁に行われているにも関わらず、直接神経再生に及ぼす影響に関しては、未だ一定した見解が得られていない。

【目的】 本研究は末梢神経損傷後のモデルラットに対し外乱刺激装置を用い、低負荷の運動介入を行うことで、神経可塑性に与える影響を明らかにすることを目的とした。

【方法】 Wistar 系雄性ラット10 週齢18 匹を対象とし、これらを無処置群 、坐骨神経圧挫後に運動を行う運動群、坐骨神経圧挫後に自然回復経過を観察した非運動群の3 群に振り分けた。運動群は外乱刺激装置(回転角度±7 度、回転速度20rpm のプラットホーム)を用いて、4 週間、週5 日、1 日1 時間実施した。実験終了後、運動機能評価としてRotarod test、インクラインテストを行い、組織学的評価として蛍光免疫組織化学染色法にて、抗GAP-43 抗体、抗S-100 抗体を用い、蛍光顕微鏡で平均輝度を算出し、その値をGAP-43、S-100 の発現量とし比較した。統計手法は一元配置分散分析を用いた。本研究は大学動物実験倫理委員会の承認により実施した。

【結果】 組織学的評価にてGAP-43 で有意差が認められ、S-100 でも発現量が増加傾向にあったものの、運動機能面では統計学的有意差は認められなかった。

【考察】 本研究の結果より、GAP-43 の発現量が増加したため、組織学的に有効な回復が得られたことから、術後から低負荷の運動を行うことが、組織学的に神経可塑性に有効である可能性は示唆された。しかし運動機能テストでは有意な差を認めなかったため、神経組織学的変化と運動機能面の回復との間にタイムラグが生じている可能性が示唆され、神経機能回復と機能的回復について更に詳細に継時的に検討していく必要がある。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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