関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-051 1/f ゆらぎを持つ機械乗馬は副交感神経活動を賦活化し血管内皮機能を改善させるか
石谷周士高下大輔玉置友夏子田中伸弥浅川賢増田卓横山美佐子
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p. 51-

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抄録

【背景】乗馬療法の効果は、馬のリズミカルな揺れが人間の脳や身体を刺激することで得られると考えられている。横山らは乗馬中騎乗者が受ける上下運動に1/fゆらぎがあり、副交感神経活動が賦活化して自律神経活動を是正すると報告した。一方、有酸素運動の効果として血管内皮機能の改善がある。有酸素運動により血流が増大し、血管内のずり応力で血管内皮細胞より一酸化窒素が放出され、改善を促進すると考えられている。乗馬は有酸素運動であるが、自律神経活動の是正も関与して血管内皮機能を改善すると考えられる。しかしその機序は十分に検討されていない。

【目的】1/fゆらぎを持つ機械乗馬への単回の騎乗が血管内皮機能に与える影響を明らかにすること。

【方法】健常成人男性29 名を対象とし、喫煙歴・乗馬経験を有する者、運動器・中枢神経・呼吸・循環器疾患を有する者は除外した。馬の動きを再現した1/fゆらぎを持つ乗馬機器に騎乗する群(1/fあり群)、1/fゆらぎを持たない乗馬機器に騎乗する群(1/fなし群)、運動課題を課さない群の3 群に無作為に割り付けた。単回15 分の乗馬の前後で心拍変動と瞳孔径を自律神経活動の指標、反応性充血指数(以下RHI)を血管内皮機能の指標として測定した。なお、本研究は研究倫理委員会の承認と対象者に説明と同意を得て実施した。

【結果】乗馬の前後で1/fあり群では瞳孔径が有意に低下し、他群と比較した際にも有意に低下した。また騎乗前後でRHI は1/fあり群と1/fなし群で有意に増加したが3 群間において有意差を認めなかった。

【考察】1/f あり群では副交感神経活動が賦活化し、先行研究を支持する結果であった。これは1/f ゆらぎが扁桃体に快刺激を与えたためと考えられた。RHI は1/f あり群と1/f なし群で乗馬の騎乗前後で有意に増加したが、3 群間では有意差を認めなかった。単回の乗馬におけるRHI の増加には、有酸素運動による筋収縮による血流増加が関与したと考えられた。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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