関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-059 脳卒中患者への早期離床訓練開始に対する効果の検討
佐藤圭祐北地雄原島宏明宮野佐年
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p. 59-

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抄録

【目的】近年の脳卒中後片麻痺患者のリハビリテーション(以下リハビリ)については、早期から積極的なリハビリ介入が推奨されている。今回、当院脳卒中患者における早期離床訓練が患者に対し効果的か否か検討を行うことを目的とした。

【方法】対象は平成26 年4 月から平成27 年5 月までに脳卒中で当院の急性期病棟に入院された、患者150 名(男性:80 名、女性:70 名)とした。方法は、対象者がベッドから車椅子への移乗訓練を開始した日を早期離床訓練開始日とし、5 以内に開始出来た群をA 群(115 名)、6 日以上で開始した群をB 群(35 名)とした。両群について転帰先

(在宅退院か施設退院)をカイ2 乗検定、在院日数、離床訓練開始日をA 群、B 群とで退院時BI との相関、比較を行った。解析はSPSS17.0jForWindows を用い、5%未満を有意水準とした。

【説明と同意】ヘルシンキ宣言に基づき、対象者、家族へ研究目的の説明し同意を得た。

【結果】転帰先はA 群91 人、B 群16 人が在宅退院となり、A 群が有意に多かった。在院日数はA 群36.8±40.8

日、B 群82.9±58.0 日となり群が有意に短縮できた。早期離床訓練と退院時BI とは相関が認められ、退院時A 群

74.52±32.85points(内在宅退院患者86.9±20.4 points)、B 群46.71±37.62points(内在宅退院患者77.5±25.1

points)とA 群のBI が有意に高かった。

【考察】今回の研究では、離床までの日数とBI、転帰先、在院日数に関係が認められた。急性期早期離床訓練は脳梗塞片麻痺の退院時BI 向上及び在宅復帰、退院日数の短縮が確認できた。今回の研究では、発症後5 日以内に離床訓練を行った脳卒中患者に、BI、在院日数の短縮、在宅退院に対し有効な効果を発揮していた可能性が考えられる。

【まとめ】急性期早期から離床訓練を開始する事で、退院時までにかけ脳卒中片麻痺の運動能力改善を促すきっかけとなった可能性があり、退院時の予後予測にも関与する可能性が示唆された。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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