関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第38回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: F-055
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フレッシュマン
透析患者の理学療法における運動の行動変容を促す支援の実態:透析施設理学療法士へのアンケート調査
熊谷 有紗茂木 那奈美渡邉 遥香多田 菊代
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抄録

【目的】血液透析(以下HD)患者における運動療法や腎臓リハビリテーションの効果は周知のところである.他方,慢性疾患患者への,身体活動・運動行動に関連した行動変容を促す支援の方法や有効性について様々な報告がなされている.本研究の目的は,理学療法士におけるHD患者の運動に関連した行動変容を促す支援の考えや実態について,アンケート調査を行い把握することである.

【対象および方法】群馬医療福祉大学研究倫理審査会の承認を得て実施した(承認番号:17B-14).群馬県内の透析施設でリハビリテーション科を有する医療機関26施設を対象とし,理学療法部門長に,2018年4月中旬に各施設へ無記名自記式質問紙を郵送した.質問項目は,HD患者の理学療法実施状況,運動管理に関する記録表等の紙面活用の有無,HD患者の行動変容段階別に,行動変容に向けた具体的支援に関する理学療法士の認識と実施状況の全20項目とした.

【結果】回収率は61.0%であった.導入・維持透析の両方に対応する施設が43.8%を占めたが,HD患者への理学療法介入期間および介入頻度は施設毎でばらつきがみられた.理学療法プログラム立案時に優先的に設定する項目は「身体活動量の維持や向上」であった(43.8%).運動管理に関し記録表等の紙面活用は75.0%が行っていない現状にあった.支援の具体的項目として「患者さんご自身にリハビリテーションを客観的に評価させる」は行動変容段階が上がるにつれより重要と認識され,実践としても同様の傾向を示したが,他の支援項目よりも実践実態としては低い傾向であった.

【考察】HD患者に対する理学療法は時間的制度的制約がある中での実施にあり,患者の抱える諸問題も多い.監視型運動療法実施以外の場面での効果的な運動管理は極めて重要な因子と言え,セルフケア行動促進に奏功する期待のできる,運動管理に向けた紙面の活用に至っていない現状が示されたことは,今後の有用な支援を検討する上で意義が高い.

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© 2019 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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