関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第38回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: F-060
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フレッシュマン
腰痛は頸部の動きに変化をもたらすか?~頸部関節位置覚・頭部正中位再配置能力の視点から~
小林 里羅中川 和昌高橋 裕子
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抄録

【目的】器質的異常のない腰痛と頸部関節位置覚および頭部正中位再配置能力の関係について明らかにすることを目的とした。

【方法】A大学に在籍する大学生39名を対象とし,日本語版 Oswestry Disability Index質問紙表(以下,日本語版ODI)を用いて1点以上の26名を腰痛群,0点の13名を対照群とした。測定課題は頸部関節可動域,腰部関節可動域,頸部関節位置覚,頭部正中位再配置能力とし,いずれも屈曲および伸展方向への運動を測定した。頸部関節位置覚および頭部正中位再配置能力は体幹が固定できる椅坐位にて閉眼状態で測定した。頸部関節位置覚は検者が指定する角度と対象者が運動した結果の角度との誤差,頭部正中位再配置能力は測定肢位で対象者の額につけたレーザーポインターにより示される点を基準点とし,対象者が頸部屈曲または伸展自動運動を行った後,自身が思う正中位へ頭部を再配置した結果の点との距離を測定した。各測定は5回ずつ行い,それぞれ平均値を代表値とし群間比較・検討した。また,日本語版ODIの点数と各測定結果の相関関係について検証した。

【倫理的配慮】ヘルシンキ宣言に則り,全対象者に研究の趣旨と内容を説明し,書面にて同意を得た。

【結果】頸部可動域および腰部可動域には群間に差がなかった。頸部伸展運動範囲での頸部関節位置覚は,腰痛群の方が小さな値であった(腰痛群 2.4±0.9°,対照群3.2±1.6°)が頭部正中位再配置能力は群間に差がなかった。日本語版ODIの点数は頸部伸展可動域と腰部伸展可動域でそれぞれ負の相関を示した(頸部 r=-0.33,腰部r=-0.49)。

【考察】腰痛のある対象は日常的に頸部関節位置のずれに過敏となっており,腰痛が悪化するほど頸部関節可動域が小さくなるという可能性が考えられた。ただし,因果関係については腰痛の詳細な評価とあわせて考えていく必要がある。

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© 2019 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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