主催: 公益社団法人日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
会議名: 第38回関東甲信越ブロック理学療法士学会
開催日: 2019/10/26 - 2019/10/27
【目的】スポーツにおけるwarm-upでは、静的ストレッチング(SS)と動的ストレッチング(DS)を組み合わせて行われている。本研究は、ストレッチング方法の組み合わせ順によって、筋出力と関節可動域(ROM)に与える影響を検討することを目的とした。
【方法】健常男子大学生10名を対象とした。Warm-upとしてトレッドミルで800mのジョギングを実施後、SSを行った後にDSを行うSS→DS条件とDSを行った後にSS を行うDS→SS条件のどちらか一方の介入をランダムに実施した。介入前後に両側股関節屈曲・伸展自動・他動ROMと股関節伸展筋出力を測定した。SS・DS共に対象筋は大殿筋、ハムストリングス、腸腰筋とし、時間は各10秒とした。DSはランジウォークを左右5歩ずつ行った。 筋出力はμ-tas F-1を使用し、腹臥位で大腿遠位部後面にセンサーパットを当て、5秒間の最大筋出力を測定し、体重で除した値(%BW)も算出した。統計学的解析には、各条件における介入前後の比較と各条件間の介入前後の変化量の比較をShapiro-Wilk検定と対応のあるT検定、Wilcoxonの符号付き順位検定を行った。有意水準は5%とした。
【倫理的配慮】対象者全員に本研究の趣旨を説明し、書面にて同意を得た。
【結果】介入前後の比較において、両条件とも左右股関節屈曲自動ROM・左股関節屈曲他動ROM、SS→DS条件では左右股関節伸展自動ROM・左股関節伸展他動ROM・右股伸展筋力、DS→SS条件では右股関節伸展他動ROMに有意な増加が認められた。条件間の変化量の比較ではSS→DS条件で左股関節伸展自動ROM・左股関節伸展筋力・%BWで有意差な増加がみられた。
【考察】本研究ではSS→DS条件で筋出力が向上する傾向にあることが示された。先行研究では6秒のSSでは筋出力向上を認めており、本研究でも10秒のSSでは、神経筋系に対する鎮静作用が小さく、筋出力向上が認められたと考えられる。
【まとめ】SS→DSの方がwarm-upとしては有効である可能性が示唆された。