関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第38回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: P-006
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脳卒中者におけるFunctional Assessment for Control of Trunk の妥当性に関する検討
松田 滉平石井 大祐大野 和輝臼田 滋
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キーワード: FACT, 妥当性, 脳卒中
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抄録

【目的】Functional Assessment for Control of Trunk (FACT)と歩行能力,身体機能やADL自立度との関連性を検討した研究は少ない.本研究の目的はFACTの構成概念妥当性と臨床有用性を検討することである.

【方法】対象は初発の脳卒中片麻痺患者で回復期リハビリテーション病棟入院患者31名と通所リハビリテーション利用者27名とした.FACT,Br.Stage,TUG,10MWSなどを計測した.入院患者のみBBS,FIM下位項目(トイレ動作,移乗,移動),病棟内歩行自立度などを記録した.FACT下位項目の天井効果を分析し,FACTと測定項目間の関連性を相関係数,KruskalWallis検定及びMann-WhitneyのU検定を用いて分析した.入院患者はBBS,TUG,10MWS,FIM下位項目を従属変数,独立変数にBr.Stage下肢,FACTを投入した重回帰分析を実施した.歩行自立度に対するFACTのカットオフ値を分析した.解析はIBM SPSS statistics 25を使用した(有意水準5%).

【倫理的配慮】本研究は当院倫理審査委員会の承認を得た上で,対象者に書面にて説明を行い,同意を得た.

【結果】FACT下位項目の静的端坐位保持能力,前下方リーチ,片脚挙上で天井効果を認めた.入院患者についてFACTはBr.Stage,BBS,FIM下位項目と高い相関関係を認めた(r=0.7以上,p<0.01).入院患者においてBr.Stage,BBS,FIM下位項目は,上記3項目および健側上肢挙上とは関連性を認めなかった.重回帰分析より,BBS,FIM下位項目(移動を除く)と有意な関連性(R2=0.6以上)を示した.歩行自立度に対するFACTのカットオフ値は11点(感度90.9%・特異度70.9%)であった.

【考察】FACTはバランス能力やADL自立度と高い関連性を示し,歩行自立度に対して優れた弁別性を有していた.一方で四肢機能の影響を受け,下位項目には天井効果を認めやすい項目や妥当性に乏しい項目の存在が示唆された.

【まとめ】FACTは妥当性,弁別性ともに優れているが,一部下位項目で天井効果や妥当性に乏しい項目が認められた.

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© 2019 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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