関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第40回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P3-5 回復期リハビリテーション病棟に入院した中等度脳卒中片麻痺患者の転倒因子の検討―FIM を 用いて-
小野 俊則土田 希山本 千絵菅原 花梨金子 巧遠藤 伸子
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p. 140-

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抄録

【目的】回復期脳卒中患者の転倒率は高く,大腿骨頸部骨折など二次障害の発生率も高いと言われている.そのため,脳卒中患者の転倒要因を明らかにすることは重要である.転倒予防として入院時のFunctional IndependenceMeasure(以下,FIM)を用いた研究は多いが,脳卒中重症度別に検討したものは少ない.そこで本研究では回復期リハビリテーション病棟に入院した中等度脳卒中片麻痺患者の転倒因子をFIM を用いて検討することを目的とした.

【対象と方法】 対象は,2018 年4 月~2019 年3 月までに当院回復期病棟に入院した初発脳卒中患者で,中等度脳卒中片麻痺患者とした.中等度脳卒中片麻痺患者の定義は入院時下肢BRSIII 以上,退院時に歩行がFIM5 以上になったものとした.各評価内容は,患者属性,入院時,また入院から1ヵ月後のFIM 合計得点,運動FIM 合計得点,認知FIM 合計得点とした.また,FIM の小項目である移乗,移動項目を比較検討した.転倒の有無により転倒群,非転倒群の2群に分類し,χ2検定を用いて比較検討をした.

【倫理的配慮】本研究はヘルシンキ宣言に基づき,入院時に書面にて同意を得た

【結果】 転倒者は14 名であった.入院からの転倒時期は26.6±22.4 日,転倒場所は病室12 名,トイレ2 名,転倒時間は6 時~9 時(35.7%),18 時~21 時(21.4%)であった.転倒の有無による比較では,FIM の各合計点では有意差はみられなかった.小項目である入院時の車椅子自走のみ有意差がみられた(p<0.05).

【考察】 回復期脳卒中患者の転倒因子の検討をした結果,入院時の車椅子駆動が関連していることが示唆された.車椅子駆動に関しては体幹の機能が関与してくることからも,入院時に車椅子駆動が困難であり,体幹機能が低下している場合,入院中の転倒のリスクが高まると考えられる.

【結論】 回復期中等度脳卒中片麻痺患者は入院時の車椅子駆動が入院中の転倒に関与することが示唆された.

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© 2021 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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