主催: 公益社団法人日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
会議名: 第40回関東甲信越ブロック理学療法士学会
開催日: 2021/09/04 - 2021/09/05
p. 141-
【背景】「子供と一緒に快適に走れるようになりたい」という希望を抱える地域在住脳卒中者への支援の機会を得た。
一方で、脳卒中者における走行動作についての研究知見は少ない。この症例に対して、外骨格装具が走行動作の補助に有効であると考えた。本研究の目的は外骨格装具が地域在住脳卒中者の走行動作に与える影響を検証することとした。
【方法】対象者は30 歳代の男性であり、診断名は左被殻出血、発症から10 ヶ月経過していた。SIAS 合計得点は55
点(SIAS-Motor:4-1C, 4-4-4)、FIM-Motor は88 点であった。データ収集として、外骨格装具Keeogo を装着する前後での歩行速度と歩行時の主観的評定を測定した。初めにKeeogo を装着しない状態で走行を行った(Keeogo なし条件)。次いでKeeogo を装着し、対象者の動作とKeeogo によるアシストの同調のための手続きを行った後、走行を行った(Keeogo あり条件)。走行条件は屋外の30m の直線路とし、加速路を設けずに測定者の合図に従って走行を開始した。なお、走行においては疲労の影響を考慮し、1回のみの測定とした。走行後に走行時の不安、主観的スムースさ、主観的左右対称性、快適さについて対象者に尋ね、対象者が1-10 の10 段階で評定した。
【結果】Keeogo なし条件での走行速度は123.0 m/min であり、走行時の不安、主観的スムースさ、主観的左右対称性、快適さはそれぞれ6、3、2、3 であった。Keeogo あり条件での走行速度は121.6 m/min であり、走行時の不安、主観的スムースさ、主観的左右対称性、快適さはそれぞれ6、4、4、3 であった。
【結論】外骨格装具Keeogo は走行動作の速度は向上させなかったが、走行時の主観的体験を向上させる可能性が示唆された。
【倫理的配慮】本研究において対象者には書面にて説明を行い、書面による同意を得た。