関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第42回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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一般演題
腰椎固定術後に課題指向型アプローチを行い, 禁止動作を遵守した調理動作を獲得できた一症例
新井 しほり小保方 祐貴西 亮介藤井 浩角田 大介真鍋 和
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p. O-062-

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抄録
【はじめに】 脳卒中分野で課題指向型アプローチ(以下TOA)の効果は多数報告 されているが,整形外科分野での報告は少ない.腰椎固定術後患 者に対して禁止動作を遵守した調理動作を獲得するためにTOAを 実施し,退院後早期に調理動作自立に至った症例を報告する. 【症例紹介】 70歳台男性.20年程前から腰痛,2年程前から両下肢痛・痺れあり. 腰部脊柱管狭窄症に対しX 日に腰椎側方進入椎体間固定術(L2~ L5)施行.入院予定期間は約4週間.後療法は約4ヶ月ダーメンコル セット装着下,腰部安静保持.独居のため退院時に調理動作自立の 希望あり. 【術前評価】 (1)JOAscore10/29点,(2)6分間歩行距離140m,(3)Timed Up & Go test11.2秒,(4)Functional Independence Measure 124/126点 【経過・介入】 X+1日より通常理学療法(筋力増強運動,ストレッチング,動作練 習等)を行い,X+15日でヒップヒンジでの中腰動作は獲得したが, 模擬的調理動作練習において腰部屈曲の危険性がみられた.そこで X+26日より1日20分,TOAにて皿洗いやシンク下の収納棚の操作 などヒップヒンジによる下方リーチ動作練習を行った.その結果, 禁止動作を遵守した調理動作を獲得でき,X+33日に自宅退院 した.外来にて調理動作が自立できていることを確認した. 【最終評価】 (1)16/29点,(2)270m,(3)10.8秒,(4)121/126点 【考察】 本症例は,通常理学療法により身体機能向上がみられ基本的な ADLを再獲得し,ヒップヒンジの運動学習もなされていたが,調理 動作の環境下では実施困難だった.TOAは環境適応能力向上に有効 とされており,本症例においても有効だった.脳卒中分野では環境 適応能力向上に2週間を要したとの先行研究があるが,本症例では 1週間の早期で調理動作を獲得できた.その理由として脳血管障害 がなく上肢運動機能や下肢の大関節機能が保たれ腰椎機能の代償 が可能であり,調理動作を行うための運動機能が備わっていたこと が考えられた. 【倫理的配慮,説明と同意】 今回の発表に際して,ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則に配慮し, 個人が特定されるような情報を開示しないことを本人に説明し, 同意を得た.
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© 2023 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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