関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第42回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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一般演題
転倒転落事故発生予防として対策方法と紐づけた評価シート運用の有効性と課題
渡辺 学桒原 慶太糠信 美穂新井 利江宮崎 三都江秋田 佳子渋谷 清
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キーワード: 転倒転落, 評価, 対策
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p. P-005-

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抄録
【目的】 医療施設における転倒転落事故は医療事故全体の中で約1/5を占め, 患者家族医療従事者に多くのデメリットを生じる.本邦では転倒 転落に関する評価は事故発生予防対策との紐づけが十分になされ ておらず課題となっている.我々はベッドサイドでの評価から転倒 転落予防対策法をフロー式に選択できる評価シートを作成した. 運用の有効性と課題を検討した. 【方法】 評価シートは筋力,バランス,認知機能の検査項目で構成し,セン サーなどの環境的対策をフロー式に選択できるものである.手順 は,看護師が使用している転倒転落アセスメントスコアシートで 1次評価を行い,認知力,運動機能,患者特徴のいずれかでリスク ありと判断された患者について,理学療法士が評価シートを用いて 対策方法を選択し,看護師に提案をしている.評価シートの導入 効果を,転倒転落事故(未遂を含む)発生率について導入後1年間 のデータと導入前年のデータとを比較検討した.また評価シート による対策提案後に事故が発生した事案について内容を吟味し, アセスメント方法の課題を抽出した. 【結果】 2022年度のべ入院患者数は87,543人,転倒転落事故は170件, 発生率1.942‰で導入前年の発生率2.013‰より低下した.治療 を必要とするレベル3b 以上の発生率は0.046‰で導入前年の 0.104‰より低下した.評価シートによる評価数は903件で, 評価後に発生した事故は12件であった.レベル3b以上は発生せず, 多くは患者の状態変化に評価対策が間に合っていないことが原因で あった. 【考察】 評価シートの導入は一定の効果がみられたが,1次評価での高リ スク者の抽出,こまめな評価の必要性が課題として挙げられた. 病院全体として,自己移動対策と抑制回避の問題,頻回な評価に よる負担増が課題として挙げられた. 【結論】 対策と紐づけの評価は有効だが,事故発生予防対策全体で修正する 必要がある. 【倫理的配慮,説明と同意】 本研究は医療機関情報及び患者の個人情報を匿名加工し集計する ことで,患者が特定されないように配慮した.
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© 2023 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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