関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第42回関東甲信越ブロック理学療法士学会
会議情報

一般演題
脊椎圧迫骨折,大腿骨近位部骨折,脳卒中患者におけるThe modified Gait Efficacy Scaleの尺度特性の検討
齋藤 拓之佐藤 みゆき小林 将生齋藤 徹志村 貴文四元 憲太郎花井 陽太谷﨑 義生臼田 滋
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キーワード: 歩行, 自己効力感, 尺度特性
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p. P-043-

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抄録
【目的】 The modified Gait Efficacy Scale(mGES)は歩行に対する 自己効力感尺度であり,地域在住高齢者における尺度特性は検討 されているが,疾患を持つ患者を対象とした研究は少ない.本研究 の目的は,脊椎圧迫骨折,大腿骨近位部骨折,脳卒中患者における mGESの尺度特性を検討することである. 【方法】 本研究は,回復期リハビリテーション病棟入院中の65歳以上の 脊椎圧迫骨折(n=56),大腿骨近位部骨折(n=39),脳卒中患者 (n=49)を対象とした.自宅退院日の2週間前から退院日までの期 間に,mGES,Falls Efficacy Scale-International(FES-I), Maximum Walking Speed(MWS),Timed Up&Go Test (TUG),Berg Balance Scale(BBS)を測定した.各疾患におけ るCronbachのα係数を算出し,内的整合性を検討した.全体での 探索的因子分析を実施し,構造的妥当性を検討した.mGESと FES-IのPearsonの積率相関係数を算出し,併存的妥当性を検討 した.また,mGESとFES-IそれぞれとMWS,TUG,BBSとの Pearsonの積率相関係数を算出し,構成概念妥当性を検討した. 有意水準は5%とした. 【結果】 Cronbachのα係数は0.97,0.95,0.95であった(脊椎圧迫骨折, 大腿骨近位部骨折,脳卒中).探索的因子分析の結果,mGESは 一次元性が認められ,因子寄与率は73.1%であった.mGESと FES-Iの相関係数は-0.73,-0.50,-0.54であった.mGESおよ びFES-Iとの相関係数(mGES/FES-I)はMWSが0.50/-0.39, 0.23/-0.02,0.65/-0.45,TUGが-0.48/0.36,-0.33/0.14, -0.60/0.41,BBSが0.55/-0.39,0.19/-0.16,0.57/-0.44で あった. 【考察】 mGESは良好な各疾患で内的整合性を示し,全体の因子分析に おいてモデルの一次元性を認めた.MWS,TUG,BBSとの相関 分析では,他疾患と比べ大腿骨近位部骨折において,mGES, FES-Iともに低い相関係数を示した.これは,mGES,FES-Iに 共通しており大腿骨近位部骨折患者のMWSやTUG,BBSの分布 の影響を受けた可能性がある. 【倫理的配慮,説明と同意】 本研究は公益財団法人老年病研究所倫理審査委員会の承認を得て 実施した(承認番号81).対象者には本研究の趣旨を文書および 口頭にて説明し,書面にて同意の署名を得たうえで実施した.
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© 2023 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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