関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第43回関東甲信越ブロック理学療法士学会 ・ 第30回千葉県理学療法学術大会 合同大会
セッションID: P9-7-1
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一般演題
3次元動作解析システムを用いたベッドからの起き上がり動作における関節運動の分析
*大谷 拓哉堀本 佳誉
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抄録
【はじめに,目的】 ベッドからの起き上がり動作は臥位から立ち上がりや歩行へと移 行する際に必須の動作である.この動作に関する研究は定性的な ものが多く,定量的指標を用いた分析は十分とは言えない.本研 究では,3次元動作解析システムを用いてベッドからの起き上がり 動作中の関節運動を明らかにすることを目的とした. 【方法】 対象は若年健常男性7名(20.3±0.5 歳.平均値±標準偏差)とした. 動作は,ベッド上仰臥位からベッド右側に足をおろした端坐位まで 変換するものとした.起き上がり方法や速度は被験者が最も快適 に感じるものとし,動作は3回実施した. 3次元動作解析システム(Mac3D)を用いて関節角度を測定した. 動作時間を100%に正規化し,動作時間5%ごとの関節角度を同定 した.各被験者3回の試技のデータ平均値を代表値とした.被験 者7名の関節角度の平均値と標準偏差を算出した. 【倫理的配慮,説明と同意】 本研究は著者が所属する施設の研究倫理審査委員会にて承認を受 けた(申請番号2022-07).ヘルシンキ宣言ならびに人を対象とす る医学系研究に関する倫理指針に則って本研究を実施した.対象 者には書面と口頭で研究について説明し,同意書を得た. 【結果】 頭頸部は,屈曲が動作開始30%時点で最大値32.0°,右回旋が 50%時点で最大値30.2°を示した.体幹は,屈曲が動作開始60% 時点で最大値51.2°を示した.回旋と側屈はわずかであった.左肩 関節は,屈曲が動作開始45%時点で最大値17.1°,外転が85%時 点で最大値13.5°を示した.右肩関節の屈伸は,動作開始40%時 点で最大伸展25.9°を示し,その後は屈曲運動に変わり,85%時 点で最大屈曲16.5°を示した.右肩関節の外転は,80%時点で最 大値27.0°を示した.左股関節の屈曲は,動作開始20%から屈曲 運動が生じ,100%時点で最大値62.4°を示した.右股関節の屈 曲についてもほぼ同様であった. 【考察】 ベッドからの起き上がり動作における若年健常者の関節運動に関 する知見が得られた.各運動方向の最大値程度の関節可動域を有 していることが,ベッドからの起き上がり動作を円滑に実施するた めに必要になると考えられる.本研究の知見は,関節可動域の目 標値を設定する際の一つの参考資料として用いることができると 考える.
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© 2024 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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