関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第43回関東甲信越ブロック理学療法士学会 ・ 第30回千葉県理学療法学術大会 合同大会
セッションID: O3-3
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一般演題
当院の急性期脳卒中患者におけるリハビリテーション初回介入時のNIHSSと転帰の関連
*塙 恵太横谷 浩士三浦 秀之染谷 真琴平野 いづみ境 優希遠藤 響持田 英俊鈴木 陽一
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キーワード: 急性期, 脳卒中, NIHSS
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抄録
【はじめに】 急性期病院の理学療法士は,脳卒中発症後早期から効率的な機 能回復を促す理学療法を実施すると同時に,自宅退院の可否や回 復期病院転院の適応など理学療法介入早期の段階で予測する必 要があるといわれている. 先行研究においては初回介入時のNational Institutes of Health Stroke Scale(以下:NIHSS)で転帰を予測するという報告が散見 されているが,そのカットオフ値の点数にはばらつきがみられている. そこで本研究では,当院の脳卒中患者を対象に自宅退院を予測す る為の,リハビリ初回介入時NIHSS(以下:リハ初回NIHSS)のカッ トオフ値を検討し円滑な退院支援の一助とすることを目的とした. 【方法】 対象は2020年9月~ 2020年10月まで当院に入院した脳卒中(く も膜下出血を除く)患者でリハ初回NIHSSを評価できた79名.そ のうち自宅退院した患者(以下:自宅退院群)35名とそれ以外 の患者(以下:対照群)44名の2群に分けて,患者背景を比較す る.連続変数には対応のないt検定およびマンホイットニーのU検 定,カテゴリー変数にはFisherの正確確率検定検定を行う.また Receiver Operatorating Characteristic curve (以下:ROC 曲線)を用いて感度および特異度から,転帰に対するリハ初回 NIHSSのカットオフ値を算出する.特に断りのない限り,検定時 の有意水準は両側5%とする. 【倫理的配慮】 当院の倫理審査委員会で承認を得た(承認番号:2024052118). 【結果】 対象者の年齢は76.34±10.54歳,男性54.5%(42名),入院期間は 20.34±13.8日,リハ初回NIHSSの得点は8.36±10.21点であった. また自宅退院群と対照群を比較すると,年齢(75.0±11.5 vs 77.5 ±9.6),性別(男性:54.3% vs 54.8%),入院からリハビリ開始 日までの日数(1.9±2.9 vs 1.9±1.1)には有意差がなく,リハ初回 NIHSS(1.71±2.8 vs 13.9±10.8),入院日数(10.6±6.5 vs 28.5 ±13.0)で有意差を認めた. ROC曲線解析の結果,自宅退院の可否に対するリハ初回NIHSS のカットオフ値は3点でありAUC:0.935,感度:88.1%,特異度 88.6%であった. 【考察】 ROC曲線解析によって自宅退院の可否を予測するリハ初回NIHSS のカットオフ値を算出した結果 は3点であった.先行研究と同様 に当院でもリハ初回NIHSSを用いて早期に自宅退院が可能か予測 でき,急性期病院として円滑な退院支援の一助になると示唆され た.
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