2001 年 1 巻 p. 6-23
1993年から2000年までの分権改革は,地方自治制度における大きな変化であるにもかかわらず,表面的にはドラスティックな転換が起きていないと受けとめられている。しかし,分権改革のインパクトはそれぞれの局面で確実に現れており,自治体の政策過程を少しずつ変え始めている。本稿は自治体の政策過程における政策主体間の関係に注目しながら,分権改革以降に起きたいくつかの事例を分析し,そこにおける葛藤が自治体の政策過程を変える技術としてさまざまに活用され,分権改革の実質化に資することを目的としている。