公共政策研究
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特集 21世紀における公共政策の課題と構想
個人情報保護法の制度設計――個人情報保護法案について――
藤原 静雄
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2001 年 1 巻 p. 94-107

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抄録

高度情報通信社会は個人情報の重要性が増す社会であるともいえる。そこで,民間部門に核となる個人情報保護法を欠くわが国では,公民を包括する個人情報保護の新たな枠組みが必要となる。法制化は,保護を欠くままで進んでいる個人情報の利用に対する社会の不安を除去し,経済及び国際社会の要請にも応えるものである。このような観点から,諸外国の法制も参考にしつつ,個人情報の保護に関する法律案(2001年3月国会提出)が策定された。

この法律案は,国のすべての者,機関等に適用される基本原則を定めた部分(いわばモラルを求める基本法的部分)と,一定規模以上の個人情報データベース等を保有する民間事業者(個人情報取扱事業者という,ただしメデイアは適用除外)を規制する一般法的部分から成り立っている。法の目的は,現代社会における個人情報の有用性にも配慮しつつ,個人の人格権の保護を図ることにある。某本原則では, OECD8原則以来の個人情報保護法制における国際的な準則が5つの原則に整理され,民間事業者に対しては,これがさらに具体的かつ詳細な義務規定とされている。もっとも,民間部門に対する規律は,紛争の処理を含めて,あくまで民間部門の自主性を尊厘した枠組みとなっている。なお,この法律案の中で,現存の公的部門における個人情報保護法の改正が明言されている。

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© 2001 日本公共政策学会
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