公共政策研究
Online ISSN : 2434-5180
Print ISSN : 2186-5868
特集フクシマ以降の原子力政策
なぜ福島第一1-4号機が過酷事故に至ったのか――事故調の報告書を中心に――
大山 耕輔
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2014 年 14 巻 p. 6-23

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抄録

本稿は,なぜ福島第一1-4号機が過酷事故に至ったのかについて,同じく津波が襲ったが過酷事故に至らなかった5-6号機や福島第二,東北電力の女川,日本原子力発電の東海第二における津波対策と比較しながら考察する。そして,東京電力は,3.11以前に10m超の津波を試算していたが,経営上の理由で有効な津波対策を打たなかったし,副次的要因として,原子力安全委員会や原子力安全・保安院も電力会社に捕虜にされ津波対策に有効な規制を打てなかったために過酷事故に至った,という仮説を,各種の事故調査委員会の報告書を検討しながら検証している。配電盤の水密化やかさ上げなど比較的安上がりで有効な津波対策を打っていれば福島第一1-4号機は過酷事故に至らなかった可能性があるし,規制当局が電力会社から独立性・専門性・透明性を確保していれば,津波対策に有効な規制を打てた可能性がある。

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© 2014 日本公共政策学会
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