公共政策研究
Online ISSN : 2434-5180
Print ISSN : 2186-5868
特集 地方自治の公共政策
地方自治体の公共政策:その歴史,現状,課題
新川 達郎
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2019 年 18 巻 p. 8-20

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抄録

地方自治は一般的には統治機構を構成する原理であり,中央政府とは別に民主主義原理に基づく地方政府を設ける考え方である。地方自治に関する政策には,第1には,地方自治を国家の統治機構の中に位置づける政策がある。第2には,統治構造における地方自治の位置づけは,必然的に国と地方との関係つまり政府間関係を規定する政策を必要とする。第3には,地方自治を担う地方政府制度を規定する政策が求められる。一般的には,地方自治体の種類や階層を定め,その権能や組織を制度化する政策が必要となる。第4には,地方自治の基本的な枠組みとは別に,中央政府が地方自治体に直接あるいは間接的に働きかける地域政策や,個別諸領域の政策介入がある。第5には,民主主義の政府としての地方自治体が,その目的達成のために,政策を決定し実施することが基本となる。そうした地方自治体の活動はどのような活動であれ公共政策という意味を持つことになる。公共政策にかかわる活動が実施されるためには,公共政策に関する思想や意識,知識や技術そしてその運用能力を発揮しているかどうかが問われる。本稿では, 5つの観点から,日本の地方自治体の公共政策を考える。そのために,理論的な検討を加えるとともに,今日に至る地方自治に関する公共政策の歴史を概観する。そして地方自治における公共政策の課題を明らかにしたい。

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© 2019 日本公共政策学会
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