2021 年 21 巻 p. 90-101
国際制度は,永遠のものではない。リスク認識に基づき,主権国家の期待が収敏する範囲で国際制度は誕生する。その後,国際制度は自律的に機能を拡大させるが,主権国家の期待は徐々に失われる。この間隙により制度は硬化あるいは劣化する。そこに危機が忍び寄る。国際制度は危機を乗り越えようとするが,歴史的にみれば多くの場合それは失敗し,主権国家に多くの衝撃を与える。制度の発展がなされるか,新しい制度が設立されるか,いずれにせよ主権国家の期待が収敏しない制度の持続性は乏しい。制度は大国間対立が弱まる時期に多く発足する。冷戦と第二次冷戦の間の冷戦間期にも制度の誕生や発展をみた。しかしその後参加国の国益との乖離をみせた制度も少なくない。その事例として本稿では,欧州安保協力機構(OSCE)とそれを補完する1.5トラックのウランバートル対話をとりあげ,制度硬化と危機との関係を論じる。