公共政策研究
Online ISSN : 2434-5180
Print ISSN : 2186-5868
Ⅱ グローバル・リスクと公共政策学
AIによる危機,AIをめぐる危機
大屋 雄裕
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2021 年 21 巻 p. 102-110

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抄録

人工知能(AI)に関して想定されるグローバル・リスクについて論じるにあたり,その活用の現状として個々人の日常生活に加え社会全体の統治ないし集合的意思決定の範囲において大規模に浸透しつつある状況を確認する。その後近年進行しつつある第三次AIブームと呼ばれる急速な技術発展・普及の背景にある深層学習(ディープラーニング)と呼ばれる技術が持つ特徴と,それがAIシステム全体のブラックボックス化に大きく影響していることについて説明する。その上で,しばしば主張されるようなAIに関するリスクとAIにより生み出される危機の想定について述べる。

その一方,そこで想定されているようなリスクシナリオがAI研究者のあいだでは必ずしも現実的なものと受け止められていないこと,その背景にあるAIの多義性と現時点での達成水準(さらには現実的に実現可能性が展望されている範囲)について確認する。その際我々がAIに期待するもの,それとの比較において我ら自身のもの(人間らしさ)として想定している内容が大きく変貌している点についても述べる。

その上で,技術開発自体が社会的選択を背景にして行なわれる我ら人間の行為であることからそれに関するリスクのあり方についても一定の傾向が生じることを指摘し,AIをめぐるリスクはどこにどのようなものとして存在するのか,そこで想定される問題の所在に適切に対応した施策とはどのようなものかなどの点について論じる。

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© 2021 日本公共政策学会
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