公共政策研究
Online ISSN : 2434-5180
Print ISSN : 2186-5868
研究ノート
公的年金改革――政府案の分析と評価――
台 豊
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 4 巻 p. 83-94

詳細
抄録

本稿は,政府の公的年金改革案について,公共政策の策定・評価に関する基準に基づく検証を行い,より望ましい改正像を模索するものである。

まず,公的年金政策の分野において妥当する政策策定・評価基準について考察を行い,具体的な基準として有効竹,公平性,効率性,実行可能性を提示する。

次に,公的年金改革に関する四つの主要な論点,即ち①基礎年金の財政方式,②厚生年金の財政方式,③給付と負担の調整,④高額所得者の給付制限について,上記甚準に基づく検証を加える。

総括的な結論として,保険料水準の固定およびマクロ経済スライドの採用により世代間の公平を図ろうとする点において,政府案を評価するとともに,特に国民年金制度における未加人・未納ひいては無年金者・低年金者の発生が大きな課題として残されることを指摘し,これに対応した三つの選択肢――①「皆年金」という政策目標の放棄,②税方式への移行,③厳格な所得捕捉システムを前提とする所得比例制度の導入――について論じる。

著者関連情報
© 2004 日本公共政策学会
前の記事 次の記事
feedback
Top