本研究の目的は,政府政策か社会関係資本の形成とパフォーマンスの向上に影響するという,最近の社会関係資本概念を巡る理論的論点の蓋然性について, 日本の事例を通じて検討することである。そのため,まず,社会関係資本に関する研究動向について検討を行い,最近の理論研究の方向は,社会関係資本を媒介にした制度要因と文化要因の相互強化的な好循環の可能性の示唆に向けられていることを明らかにする。さらに,非西欧的な文脈である日本の事例の中にも,このような新しい理論的観点の蓋然性を裏付ける好例が存在することを明らかにする。そのため,パフォーマンスの良い自治体として高い評価を受けている宮崎県綾町と束京都三肱市の発展過程を事例として検討する。