2005 年 5 巻 p. 119-129
英国と日本では新自由主義的政策アイディアに基つく行政組織改革か行われた。英国のエージェンシー制度をモデルとして日本では独立行政払人制度が削設されたが,この二つは大きく異なったものとなった。本論文では,同様のアイディアが異なった結果をもたらした理山について,エグゼクティブ・パワー(首相の権力),行政府と政党の凝集性,柘否権プレイヤーといった概念を用いて説明する。
日本では,拒否権プレイヤーたる官僚・族議員の権力が大きく,それらと首相の間で選好の乖離が大きいため,行政府と政党の凝集件がともに低い。すなわちエグゼクティプ・パワーが小さいため,新たな政策アイディアの導入による政策変更の可能性か小さくなり,政策内容は特殊利益に配慮したものに変質しやすいはずである。反対に,英国では,拍西権プレイヤーの権力も選好の乖離も小さく.行政府と政党の凝生性か高いため,政策変更の可能性は大きくなり,政策内容は%初のアイディアが貫徹したものになりやすいはずである。
本論文では,サッチャー改革と橋本行革における行政組織改革の比較を行うことにより,英川では新自由主義的アイディア(市場原理の尊重)が比較的に貰徹した改革か実施されたのに対し,日本では拒否権プレイヤーの選好が改革過程に強く反映され,巾場原理の叫入という点では不徹底なものとなったことを明らかにする。