公共政策研究
Online ISSN : 2434-5180
Print ISSN : 2186-5868
特集 市民社会の公共政策学
法制度の刷新と市民社会――米国ヴァーモント州における同性婚論争の帰趨
駒村 圭吾
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2005 年 5 巻 p. 96-107

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抄録

1999年,ヴァーモント州最高裁は,婚姻制度が与える便益を異性関係に限定した州法は違憲であるとの判決を下した。これを契機に,同性婚をめぐる広汎な民主的討議か展開され,2000年,全米初のシビル・ユニオン法が成立した。本稿は,道徳立法の刷新をめぐる,この政治過程を紹介し,政府・議会,裁判所,市民社会というアクターがどのように行動したかを描写する。そして,人びとの菩き生き方に関わる道徳的争点が争われた本事例において特徴的であった点として,①「十分に内部化した外部勢力」による自生的闘争,②市民教育や説得といった観点を持たずひたすら呪祖に明け暮れる「原坪上義者の自己破滅」,③原理的規制の枠組みを提示しながら,政策選択に一定の幅を持たせ政治過程に解決を委ねるという,裁判所の「引き金」機能を指摘する。

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© 2005 日本公共政策学会
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